無垢木材と防虫加工

 無垢の木材は、天然素材であるだけに「虫がつくのでは?」、あるいは「防虫処理のために薬剤が使用されているのでは?」といった疑問を持たれる方が少なくないようです。
 ここでは、内装材と防虫処理について紹介します。

防虫と防腐との違い

 “腐れ”“カビ”“虫”の被害は、木材がプラスチックやコンクリートなどと異なり、有機材料であるからこそ起こりうる現象です。廃材処理が社会問題化となっている昨今、こういった特徴はむしろ望ましいことかもしれません。しかし、腐りやすく、虫がつきやすいというのも問題。人間の勝手というものですが、困ることは事実です。
 そこで登場したのが、防虫処理や防腐処理というものです。防虫とは読んで字のごとく、“虫”を防ぐことですが、防腐とは、“腐れ”“カビ”を発生させる腐朽菌を防ぐことで、厳密にいうと両者は異なります。木材を腐らせる腐朽菌は、限られた条件でしか生育しないのに対し、虫はその種類によって異なった生活条件をもっているため、あらゆる条件の下で生活しているといえます。

防虫処理を施したホワイトアッシュフローリング施工例

木材に害を及ぼす虫

 木材に害を及ぼす虫は、伐採したばかりの丸太を食べる虫、乾燥した木材を食べる虫とその種類は様々。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
●乾燥した木材を食べる虫・・・・ヒラタキクイムシが有名。乾燥した木材を食べるので、内装用として木材を使う場合に最も注意しなければならない種類。

●湿った木材を食べる虫・・・・代表的なものはシロアリ。他の虫と異なり、コロニーを作って生活するため、大きな被害をもたらすことがある。住宅で被害を受けやすい場所は、土台、束、根太など床下にあって絶えず湿っているような部材がほとんど。

●伐採直後の丸太を食べる虫・・・・代表的なものは、キクイムシ科の穿孔虫やナガキクイムシ科に属する種類。含水率の高い伐採した直後の丸太のみ被害を受ける。

------------------------------------------------------------------------------------------------

乾燥した木材を食べる:ヒラタキクイムシ

 上記のように、内装用木材を使用するにあったって、最も注意しなければならないのは、ヒラタキクイムシです。

◆特徴
 家具や建材の表面に円形の小さな穴(1〜2mm)があり、その周囲に白い木粉が落ちていたらヒラタキクイムシによるものと判断できます。
 成虫は、茶褐色、体長2.2〜8.0mmの甲虫で、春〜夏にかけて1〜2mm程度の円形の穴をあけて出てきます。
産卵から成虫のサイクルは約1年のため、穴が発見された場合、虫の侵入のきっかけとなった産卵時期は、成虫発見のおおよそ1年前と考えられます。

◆被害を受けやすい木の条件とは!?
 乾燥した木材であればどんなものでも食べてしまうというわけではありません。
 主な栄養源は、木材に含まれているデンプンや単糖、たんぱく質のため、これらを多く含む広葉樹の辺材が主に被害を受けます。デンプンが少ない広葉樹の心材や針葉樹はほとんど被害にあうことはありません。大きな道管に卵を産み付ける習性があるため、広葉樹のなかでも環孔材に被害が出やすい傾向にあります。
また、“タンニン”という物質が木材中に多く含まれていると虫が付きにくいことも知られています。

防虫処理薬剤について

 フローリングについてJASで認められている防虫処理薬剤は、ホウ素化合物(ボラックスを含む)とホキシム(ホキシムおよびオクタクロロジプロピルエテールの混合薬剤を含む)、フェニトロチオン、ピリダフェンチオンの4種類のみです。
◆ボラックスについて
 弊社では、防虫処理薬剤として“ボラックス”を使用しております。
ボラックスとはホウ酸塩のことで鉱物の一種で天然に存在します。ホウ素は、すべての植物の成長に欠かせない必須微量元素の1つ。もちろん人間にとっても栄養学的に重要なものですが、木材につく虫を抑える働きを持っています。その他にも、家庭用洗剤やガラス、セラミックなど広い分野で用いられています。

 ある研究により、かの有名なバイオリンの名器:ストラディバリウスの製作において、使用されていたことが発見されました。ボラックスは、防虫効果だけでなく、木材を堅く丈夫にするという副次的な効果もあり、ボラックスを塗ったバイオリンと塗らないものとでは音色が違ってくるようです。

 防虫処理剤としてボラックスを木材中に含浸させても、変色もなく、釘やネジ打ちしても腐食するおそれがありません。ただし、水に溶けやすい性質のため、屋外や地面と接する場所などに用いられる木材には不向きです。内装材の場合でも、水に塗れる可能性のある部分は、ウレタン塗装で全体をコーティングすることをおすすめします

万が一、ヒラタキクイムシの被害にあってしまったら

 ヒラタキクイムシは、屋外から侵入して被害が発生することはめったにありません。ほとんどの発生原因は、すでに被害を受けてしまった製品の持ち込みによります。フローリングや壁・天井材に注意していても、その下にある下地合板から発生することもありますのでご注意下さい。

 被害が発生してしまった場合の対処法としては、次のようなことが挙げられます。

薬剤噴射 : 円形の小さな穴(1〜2mm)があり、その周囲に白い木粉が噴出している箇所をみつけたら、木屑を取り除いて、穴の中に市販のキクイムシ防除用殺虫剤を噴射します。穴の周辺に錘で直径数ミリの穴を数箇所あけ、その穴の中にも殺虫剤を噴射するとさらに効果的です。

※大規模な被害の場合は、専門業者に相談されることをおすすめします。

 なお、ヒラタキクイムシはデンプンが豊富な新しい木材を好みます。よって、築後3〜4年で発生しなくなります。

弊社での対応

 内装用として木材を使用する場合、含水率を調整するために人工乾燥をするため、その熱により幼虫や卵は死滅します。よって、製品として加工後すぐに梱包されるものには、防虫処理を施しておりません。ただし、製材のまま輸入し、国内で製品として加工する場合、その保管時に虫害を受ける恐れのある樹種についてのみ、安全性を考慮した天然鉱物であるボラックスにより防虫処理をしております。

 防虫処理を施している弊社取扱い樹種:ホワイトアッシュ、ピーカンなど。防虫処理を施している商品については、こちらまでお問い合わせ下さい。
ページトップへ