壁面に木を活かす 〜アクセント使いで広がる無垢の心地よさ〜【676 号】

 無垢の木を床材として使うことが多い中、床以外の部分にも取り入れ、空間の木材使用率を45%まで高めることにより、人の心をリラックスさせると同時に活動的にもさせると言われています。最近では、木材を壁に使う際、腰壁などの従来の形にとどまらず、右の写真のように、壁の一部にインテリアのアクセントとして取り入れるケースも増えてきました。施工やコストの面で気軽に取り入れることができるのも魅力です。そこで今回は、壁に無垢木材を使う時のポイントをお伝えします。

見る木活かす木第665号 木材の使用率と心理的効果の関連について

キリ パネリング
@パネリングを壁に使う
 
 無垢木材を壁に使う場合、あらゆる種類の木が使用できるわけではありません。壁にバランスよく無垢木材を張るためには適した仕様があります。一般的に、壁に木を取り入れたい場合は、「パネリング」という部材が使われます。

 ‐パネリングの特徴‐

パネリングの特徴として、長さ、薄さ、軽さ の3点があります。この3点を兼ね備えることができるのは、主に針葉樹であることが多いため、パネリングのラインナップの大半は針葉樹が占めています。

 A:パネリングの長さ
 通常の住宅の天井高は2.4mや2.7m前後の物件が多いため、特に垂直方向に木材を張る場合は、その高さを継ぎ手なしに1本でまかなう長さが必要です。その結果、必然的に長尺物が多くなります。長尺であるには、樹高が高い針葉樹の方が適しているため、壁材にはスギ、ヒノキ、パインをはじめとした白木系の樹種が多くなります。

 B:パネリングの薄さ
 昔から「床は五分、壁は四分」というように、無垢フローリングの厚みは15mm前後のものが多いのに対し、パネリングは10mm前後と薄めのものが多くなります。これは、上からの衝撃が加わることがなく、フローリングほど高い耐久性が求められないためです。

 C:パネリングの軽さ
 壁材には、なるべく荷重がかからないものが好まれます。前述のように、無垢のパネリングは比較的薄めに作られる上、針葉樹は比重が低いものが多いため、軽くなります。

ポンデロサパイン パネリング

ホワイトウッド パネリング
 ‐パネリング特有の加工形状‐
 「本実目透かしV溝」や「目透かし相じゃくり」などと表現されるように、パネリングには多彩な加工形状があります。当社のパネリングの実形状は「本実」と「相じゃくり」の2種類に大きくわかれ、さらに突き合わせ部分の加工形状にも種類があります。壁面は人の視線が集まりやすく、加工形状の違いは、樹種や節の有無・幅の広さなどに加えて、張り上がりの印象を左右するポイントです。また、突き付け以外の形状にして遊びの空間を設けることで、膨張や収縮など木を使う上でのリスクが目立ちにくくなります。


Aフローリングを壁に使う
 
 壁材に木を張りたい時には一般的にはパネリングを使いますが、広葉樹のフローリングと同じ樹種で壁を仕上げたい場合、白木以外の樹種を選びたい場合、無垢ならではの表面加工材を使いたい場合などに、既成の無垢フローリングを張ることがあります。ただし、フローリングを壁材として使う場合には、パネリング使用時とは異なりいくつかの注意点があるため、その点をクリアにした上で使うことが必要です。

●広葉樹のフローリングと同じ樹種を、壁に使う場合
床は、メープル・ラスティックグレードFMPR08-105が、壁はFMPU03-105が張られています。同じ樹種で続いているため、床と壁の一体感があります。壁に使用したメープルは、キャラクターグレードかつソリッドユニタイプの無垢フローリングのため、色柄の幅がよくあらわれています。

●白木以外の樹種を使う場合
シルバーチェリーのキャラクターグレードFSCU03-122をアクセントウォールに使用しています。色味の差が印象的であるというシルバーチェリーの特徴が活かされています。

●無垢ならではの表面加工材を使う場合
マリタイムパイン・ナイフカットFMTS02-105を使用しています。表面加工を施した無垢フローリングは、見るだけでなく、触れた時にも木の質感が伝わりやすい点が魅力です。壁面に使用すると、光の具合で凹凸の見え方も異なり、意匠的にも非常に印象的なものとなります。










 ‐無垢フローリングを壁に使う際の注意点‐

 A:長尺物が少なく、張り上げた際に継ぎ手が出てくること
パネリングは2m〜4mの長尺物が一般的な仕様であるのに対し、無垢フローリングの長さの仕様は、乱尺や、長尺かつソリッドユニタイプのものが大半です。そのため、張り上げた際に長手方向に継ぎ手が出て、一本通しては張りにくいことが注意点として挙げられます。材を選ぶ段階で長さの仕様を確認して選択するのがよいでしょう。

 B:周辺部材との納まりを特に考慮すること
 無垢フローリングは、パネリングや、一般的な壁の仕上げ材として用いられるクロス・突板の壁材よりも、材料に厚みがあるため、周辺部材であるドア枠やケーシングなどが大きくなりがちです。そのため、特に周辺部材の寸法を事前に考慮することが必要です。

 C:壁下地をしっかりつくること
 前述の厚みに加えて質量も増すことでパネリングよりも荷重がかかるため、壁下地をしっかりつくることが必要です。石膏ボードには釘がきかないため、胴縁もしくは木質ボードなどに、釘がしっかりと留められるような下地づくりを行ってください。

 また、張り込みの際、無垢フローリングは本実加工であり、膨張収縮を吸収する部分が少ないため、パネリングの本実加工のもの同様、きちんとスペーサーを使い、0.5mm程度の隙間を設けてください。



 壁に木を使うと、床とは異なる形で無垢の素材感を活かすことができます。無垢材をこれまでとは異なる部分にも取り入れることは、居心地がよく、デザイン性も高い空間づくりにつながるでしょう。
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