職人の技を意匠に採り入れる
現代に活かされる日本の伝統シリーズ第2弾
【 649 号 】
現代の空間デザインのなかに活かされている日本の伝統的な技術・技法を紹介するシリーズの第2弾。
茶室や数寄屋建築に欠かせない技法である「なぐり」。丸太や板の表面に、道具の痕跡を残し、それを味わいとしてみなすその技法は、現代においても、デザインのひとつの要素として注目をあつめています。
今号では、そんな古くから受け継がれてきた日本の大工技術である「なぐり」加工について紹介します。
なぐり加工フローリング
FMTS01-201 マリタイムパインフローリング スプーンカット クリアーグレード
表面加工の始まり
なぐり加工に使用される「釿(ちょうな)」は、大工道具の化石ともいわれ、板材の表面の凹凸や皮、腐りやすい白太(辺材)の部分をはつる道具として古くから使われてきました。
あくまで下処理でしかなかった、「なぐり」加工を表舞台に引き上げたのはかの千利休。自然の姿をそのまま茶室に持ち込み詫びた風情に仕立てた利休は、柱もこのころの書院建築でみられるような角柱ではなく、丸太のまま柱に用いました。しかし、ここで用いられた丸太は、現在の丸太柱のように人工的に密植され、枝打ちなどの手入れがされていなかったため、枝の跡や傷などがあり、その部分を「釿」ではつって用いられていました。以来、茶室や数寄屋建築では、「なぐり」の柱や板が意匠的に用いられるようになったとされています。
釿(ちょうな)
日本人の美意識となぐり加工
アジアやヨーロッパにも木造建築は古くからあり、「なぐり」加工を施す「釿」とほぼ同じ役割を果たす木工具も存在します。しかし、それらはあくまで下処理用であり、意識的に「なぐり」を意匠としてとらえ、木材の仕上げとして使用しているのは日本だけだといわれています。
国土の大半を山地が占め、森林に恵まれ、水が豊富な日本で木材が建築材料の主流とされてきたのは必然といえますが、それを単なる構造材としてではなく、意匠的なこだわりにまで昇華させているのは、実利を超えた愛情があるからこそだといえるでしょう。
伝統的な表面加工の種類
伝統的な表面加工は手作業。伝統的ななぐり加工のできる職人さんは減りつつあります。「カンッ、カンッ、カンッ…」というリズミカルな音とともになぐりの表情が生まれていきます。技術が未熟だと逆目になってしまいささくれがおこる、しかしかえって上手すぎても自然な風合いが消えてしまうという、まさに職人技なのです。
●なぐり加工
釿によるなぐり加工には「山なぐり」と「化粧なぐり」の2種類があります。
山なぐりは、元々は伐採した木を山から運び出す前に施されていた加工で、丸太の表皮や白太などの余分な部分をはつったもの。なぐりが使われ始めた当初の意図が踏襲された、野趣あふれる加工方法で門柱や小屋梁などで見られます。
化粧なぐりは、角材や板材に製材してから表面をはつったもののことで、床柱や床框、落掛、腰板、門扉、濡縁などに見られます。道具は釿を使用し、刃の形によって仕上がりの表情に違いが現れ、刃先がまっすぐな平釿で施したものは平一枚なぐりといい、刃先が弧を描いた釿で施したものは六角形が重なった表情になり亀甲なぐりと呼ばれています。
●うづくり
うづくりは、釿による表面加工ではありませんが、伝統的な木材の表面加工のひとつです。
木材の表面を、カルカヤ(イネ科の植物)の根やシュロ(ヤシの木の樹皮の毛の部分)を束ねた道具などでこすり、木目を際立たせる技法。柔らかい夏目を押さえて、硬い冬目を残すことで浮き立たせ、立体的な表情をつくりだし、天井板などに使用されていました。
参考文献:建築資料研究社 コンフォルト2007号4月号
現代の表面加工
なぐりは「名栗」と表され、その名の通り、主として栗材に施されていました。しかし、建築資材としての木材の多様化が進んでいる現在では、多彩な樹種に施され、表面加工の種類も増大しています。また、職人技として手作業で行うことが多かったなぐり加工も、現在では機械でもその味わいを表現させることが多くなりました。
様々ななぐり加工の種類
左上の「亀甲なぐり」や、左下、「丸鋸目」などのほかにも、
多種多様な表面加工が登場しています。(参考画像)
当社では、なぐり加工を現代にアレンジした表面加工を施した商品を扱っております。
●スプーンカット
スプーンで表面を削り取ったような丸みを帯びた大きめな模様で、流れるようなリズム感があります。
FEKS01-101 ヨーロピアンオークフローリング
スプーンカット Arbor亜麻仁オイル床用
FMPS03-105 マリタイムパインフローリング
スプーンカット ノッティA Arbor蜜蝋樹脂ワックス
●ナイフカット
鋭角な削り跡を活かした浅彫り模様によって、荒々しくも、幾何学的な表情を持っています。
FEKS02-101 ヨーロピアンオークフローリング
ナイフカット 亜麻仁オイル床用
FMPS04-105 マリタイムパインフローリング
ナイフカット ノッティA Arbor蜜蝋樹脂ワックス
●ブラッシング
フローリング材表面をブラッシングすることで年輪の間にある柔らかい部分を削り、年輪をくっきり浮き立たせたものです。日本の伝統技法である“うづくり”と同様、素材感を引き立てます。
FEKS03-101 ヨーロピアンオークフローリング
ブラッシング 亜麻仁オイル床用
↑表面加工の雰囲気をつかんでいただきやすいように、着色しています。
●ハンドスクレイプ
表面に波状の凹凸をつけたもので、立体的で使い込んだ古材のような表情を持たせています。加工は機械ではなく、すべて手作業で行われているため、一枚一枚表情が異なるオリジナリティと、自然で手作りのぬくもりが感じられます
FEKS04-101 ヨーロピアンオークフローリング
ハンドスクレイプ 亜麻仁オイル床用
↑表面加工の雰囲気をつかんでいただきやすいように、着色しています。
●ノコビキ
不規則で立体的な鋸目模様が全体に広がり、さりげなく粗な味わいが残ります。
FNAU07-305 ナラノコビキフローリング
キャラクターグレード ウレタンオーバーダーク
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