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木材はなぜ、変色するのか?

 木材の変色は、木材中の成分が変化し、別の色を持った成分に変わるために生じる現象です。木材に含まれる変色原因物質は種類が多く、微量でも変色するため、樹種によってその変化の様子はさまざまです。色が変化する要因には、光、鉄などの金属やアルカリ性の物質、微生物などが代表的なものとして挙げられます。
 ここでは、そんな木材の色の変化のメカニズムに着目していきます。

光による色の変化と風化

 木材に色の変化をもたらす最も大きな要因は“光”。光は遮断することができないため、必ずその影響が現れてきます。そこでここでは、光による色の変化を中心に述べていきます。
●光による変色のメカニズム

 光にはさまざまな波長があり、特に紫外線の影響は強く、木材の成分の化学結合を切ってしまうほどです。木材の成分のなかで最も光に敏感なのはリグニンと抽出成分です。これらの成分が紫外線などの光を吸収して、分解し、変性していく過程で木材の色も変化します。
 光による色の変化は、樹種によって異なり、色が濃くなっていくもの、反対にあせていくものなど様々です。
 例えば、ヒノキやパイン系は飴色に変化し、アメリカンブラックチェリー、ウォールナットなどは、その色合いにどんどん深みが増していきます。また、チークに見られる黒い筋は時間が経つにつれ、薄くなり、色の濃淡が少なくなってきます。さらに、熱処理をした木材は、色が明るくなってきます。
 このように光の影響は甚大ですが、その影響がおよぶ範囲は木の表面に限られます。激しく色が変化するのは表面から約0.2mmの深さまで。つまり、表面を削ってしまえば、またもとの色が現れてきます。それが他の材料とは異なる無垢の木材の強みです。
<small>ポンデロサパイン</small>

ポンデロサパイン

<small>チーク</small>

チーク

<small>アメリカンブラックチェリー<br><br><b><u>樹種別 日焼け後の色の変化(無塗装)</b></u><br>(左:原板の状態 右:経年変化後)</small>

アメリカンブラックチェリー

樹種別 日焼け後の色の変化(無塗装)
(左:原板の状態 右:経年変化後)

◆塗料の影響

光による色の変化をさらに加速させるものが、オイルやウレタンなどによる塗装。
オイル塗装の場合、オイル自体が酸化重合し、濃色に変化するため、オイル仕上げをした木材は、木材の色の変化との相乗効果で、より色が変化します。オイルフィニッシュのアンティーク家具に色が濃いものが多いのはそのためです。
また、ウレタン塗装の場合も、含有成分が紫外線の影響で黄色に変色しやすい傾向があります。


◆色の変色を防ぐには
色の変化を完全に阻止する方法はありませんが、酸化チタンを配合したワックス(当社取り扱い商品:Arbor針葉樹白木用オイルワックス)を使用することで、変化のスピードを抑制することができます。また、コーティング系のウレタン塗装のなかでも、紫外線を吸収する物質を含んでいるものであれば、変色を抑える効果が期待できます。
●風化

 屋外で木材を使用するとどんな樹種でもすべてシルバーグレーに変色します。
 屋外は、太陽光、特に紫外線の影響が強く、前項に紹介したように色が濃くなったり、薄くなったりするのではないかと思われますが、そうではないのです。それはなぜでしょう。その原因は雨です。

 光によって分解されたリグニンなどの変色物質は、水に溶けやすく、雨などにさらされると流れ出てしまうため、脱色されたようなシルバーグレー色になってしまいます。
<small><b><u>屋外で使用した例 イペデッキ</b></u><br>イペのように硬く<br>耐久性が高い木材は風化のスピードが遅い。</small>

屋外で使用した例 イペデッキ
イペのように硬く
耐久性が高い木材は風化のスピードが遅い。

 分解され流れ出てしまうリグニンとは、木材の骨格を形成しているセルロースを補強する役割を担っている部分です。それだけに、リグニンが光分解して生じた物質が雨に流されてしまうと支えを失ってしまうため、木材の繊維は表面から剥がれ落ち、粗い状態になります。そして、より深い部分まで紫外線の侵入を許し、光劣化をさらに引き起こし、風化していくというわけです。

その他の変色の要因    

 光以外の代表的な変色を要因別にまとめました。
●金属による変色
 鉄クギや金属製小物などを木材の表面に置いておくと、黒色に変色する場合があります。
 これは、鉄や銅などの金属イオンと木材中に含まれるタンニン(フェノール性の水酸基をもつ物質)が水分を介して反応し、黒色の化合物を生成するからです。金属製の小物やゴミ箱などを床に直接置く場合は、変色予防のために、フェルトなどを裏に貼り床面と金属が直接触れないような工夫をしましょう。
 含水率が20%以下の木材や乾燥している冬の時期は起こりにくいといわれていますが、タンニンが多い木材の場合には注意が必要です。
 タンニンが多い木材:スギ、アメリカンブラックチェリー、レッドオーク、サペリなど
<small><b><u>金属による変色例</b></u><br>サペリのフローリングの上に金属製の置物を<br>直接置いてしまい、黒色に変色した事例</small>

金属による変色例
サペリのフローリングの上に金属製の置物を
直接置いてしまい、黒色に変色した事例

●アルカリによる変色
 せっけん成分を含むクリーナーのようなアルカリ性の物質と接触すると灰褐〜暗褐色に変色する場合があります。これは木材中のタンニンがアルカリ性の物質と反応するのが原因です。お酢などの酸性の物質で拭くと中和して元の色にもどりますが、無塗装の状態で、アルカリ性のクリーナーの使用は避けてください。

●微生物による変色
 木材は糖類やでんぷんなど微生物の餌となる成分から構成されているので、水分、温度、酸素の条件がそろえば、木材腐朽菌やカビなどが容易に繁殖し、生物汚染が生じます。
 詳しくは、「腐りやすい木・腐りにくい木」をご覧ください
 生物材料である木材にとって、色の変化は切っても切れない現象です。フローリングやカウンターなど無垢の木材を使う際にはどのように表情が変化するかも、考慮し選ぶこともポイントとなってきます。