NO.695 モノ編

はじめに

 無垢材の自然な風合いや質感を楽しめる新塗料、Arborインビジブルコート。キズや汚れ、水に強いという一面を持ちながら、浸透性塗料のように、万が一小さなシミやキズができた場合には、ご自身で簡単に補修することできる塗料が登場しました。今号ではこの画期的な塗料、Arborインビジブルコートについてご紹介いたします。

Arborインビジブルコートの施工例(カバザクラ)

Arborインビジブルコートとは?

 Arborインビジブルコートは、まるで浸透性塗装のような自然な風合いや質感を楽しむことができる水性ウレタン塗料(水溶性の樹脂を使用したウレタン塗料)です。耐汚染性が高い一方で、メンテナンスも容易であるだけでなく、身体にも環境にもやさしいという特徴があります。当社オリジナルの塗料です。

自然な風合い

 Arborインビジブルコートは、塗料の性質から、一般的なウレタン塗料よりもマットに仕上がります。当社では、そのマットな仕上がりを最大限に活かせるよう独自の生産ラインを構築することで、まるで浸透性塗装のような自然な風合いを実現しました。

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図1 塗装によるツヤの違い(HORIBA GROSS CHECKER IG-320使用)

ツヤの有無はもちろん、同じマットな仕上げでも塗装の種類によって、見え方に違いが出てきます。下の画像はナラ材の無垢フローリングにそれぞれArbor植物オイル(浸透性塗料)、Arborインビジブルコート、ウレタンマットクリアーを塗装したものに光を当てて、その反射の仕方を比較したものです。インビジブルコートで仕上げた無垢フローリングは、ウレタンマットクリアーで仕上げたものと比較して、光の反射が少ないことがわかります。

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図2 塗装による太陽光の反射の違い
 

 一般的なウレタン塗料の場合、ツヤを消してマットな質感にすることも可能ですが、表面にウレタン樹脂で硬くコーティングされているため、光が当たるとその反射の仕方は画一で人工的に見えてしまいます。(図2右)しかし、Arborインビジブルコートの場合は、人工的な印象はほとんどなく、木の表面に硬い塗膜を形成しないArbor植物オイルと比較しても同等の自然な風合いに仕上がります。(図2左・中央)

水や汚れに強い

Arborインビジブルコート塗装の場合、一般的なウレタン塗料による塗装と同様に優れた耐水性、耐汚染性を発揮します。Arborインビジブルコート、ウレタンマットクリアーを塗装した無垢材(カバザクラ)に左から水、醤油、コーヒー、ワインを滴下させ、24時間放置したのち水拭きを行ったところ、どの汚れも落とすことができ、塗装による違いは見られませんでした。(図3)水拭きでも落としきれない輪染みなどの汚れについては、中性洗剤を使用するときれいに落とすことができます。

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図3 水、醤油、コーヒー、ワインを滴下し放置したサンプル(左)、その後水拭きをしたサンプル(右)

身体にやさしい

 シックハウス症候群(住居内での室内空気汚染に由来するさまざまな健康障害の総称)が社会問題化して以来、VOC(英:Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)に対する関心が高まっています。しかし、どの物質が人体に影響を与えるVOCであるのかについては、未だ完全に解明がなされていないため、国によって見解が分かれているのが現状です。例えば、環境問題に関心の高いEU(英:European Union、欧州連合)では3万種類とも言われております。しかし、日本において議論されているのは、数百種類程度であり、そのうちシックハウス対策のガイドラインとして厚生労働省が室内濃度指針値を規定したVOCは13種類に過ぎません。一般的に使用されているウレタン塗料も室内濃度指針に準じたVOC対策がとられていますが、溶剤(物質を溶かすために用いる液体のことを指す。除光液や接着剤などに含まれ、独特の臭気を持つものが多い。)が使用されているため、ホルムアルデヒドのようなVOCを全く含まないというわけではありません。一方で、Arborインビジブルコートは、溶剤の含有量が極めて少ないのが特徴です。溶剤の含有率は、一般的なフローリングに使用されている「油性ウレタン塗料」(主成分は樹脂と乾性油)は60~75%、人体や環境にやさしいとされている「水性ウレタン塗料」でも5~10%程度ですが、Arborインビジブルコートは1%以下と圧倒的に微量です。(図4)

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図4 塗料別溶剤含有率

身体にとってやさしいのはもちろん、臭いも少なく、環境にもやさしい塗料であるため、安心してご使用いただけます。

 

▼シックハウス症候群とVOC(揮発性有機化合物)について詳細はこちら
https://www.mokuzai.com/contents/column/voc/

優れたメンテナンス性

 Arborインビジブルコート塗装の製品は、表面に硬い塗膜が形成されているため、硬く絞った雑巾で水拭きをするお手入れだけでも問題がなく、浸透性塗料のように年に一度大掛かりなメンテナンスを行う必要はありません。(ただし、1年に一度を目安にワックス掛けを行うと、汚れを落とすとともに塗膜の保護ができるため、比較的きれいな状態を保つことができます。)
一方で、もしシミやキズができてしまった場合は、浸透性塗料と同じようにご自身で補修することができます。

▼Arborインビジブルコートのメンテナンス方法についてはこちら
https://www.mokuzai.com/in_di-142

 

 Arborインビジブルコートは、浸透性塗装の特長である自然な質感と自身で補修できるという利点、そしてキズや汚れに強く水拭きができるというウレタン塗装ならではのメンテナンス性の良さを併せ持っています。現在、Arborインビジブルコート塗装のフローリング商品は限られていますが、今後この画期的な塗装が選べる商品を随時追加していく予定です。
樹種だけでなく、塗装を選ぶことも無垢材と長く快適に付き合っていくために大切なポイントとなりますので、参考にしていただけますと幸いです。

>Arborインビジブルコート塗装品 一覧

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