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NO.721 コト編

2020.09.19 | FSC SDGs

持続可能な世界のための取り組みーSDGs、FSC®とはー

はじめに

近年私たちは、豪雨や酷暑などの異常気象、新たな感染症の流行など、過去に経験したことの無いような出来事に直面しています。未曽有の出来事に接し、これからの自分や社会の在り方について見つめ直した方も多いのではないでしょうか。
昨今耳にする機会が増えた「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標。読み「エスディージーズ」)」は、2030年に向けての世界の目標を国際連合が定めたものです。気候変動に対して具体的な対策を講じること、感染症に対処することなども、SDGsが定める目標に含まれています。今号では、SDGsをはじめとする”持続可能な”世界を実現するための国際的な取り組みが森林や木材産業とどのような関りがあるかということを明らかにしたうえで、木材を扱う企業としてマルホンが実施している取り組みをご紹介します。

SDGsとは

 SDGsは、2015年9月の国連総会にて193ヵ国全ての加盟国が賛同し採択されたものです。採択から15年後の2030年までの達成を目指し、「我々の世界を変革する」をタイトルに「誰一人取り残さない」を理念として国際社会共通の17の目標(goal)と、その目標を達成するための169のターゲット(target)から構成されています。持続可能な世界の実現のため、先進国、途上国を問わず全ての国が取り組むべき目標として採択されました。
そもそも「持続可能な開発」とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発*」のことです。環境の保護と経済的な発展のどちらか一方を推進するのではなく、両者を共存させることが重要であるという考えに基づいています。

*外務省「持続可能な開発」2003.12.10更新<https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/wssd/wssd.html>(参照2020.9.12)

 

画像1:SDGsマークのバッジ

SDGsと森林の関わり

 SDGsの17の目標は、その多くが森林や木材産業にも広い意味で関連してくるものです。ここでは、代表的なものをご紹介します。

■目標13「気候変動に具体的な対策を」

昨今の気候変動については、温室効果ガス、とくに二酸化炭素の増加が要因のひとつとされています。そして、人間の活動に由来する二酸化炭素排出量のうち、およそ10%が森林伐採や(森林を切り開き建設用地や農地とするなどの)土地利用の転換による*ものだと言われています。1.2秒ごとにサッカー場ひとつ分もの面積の森林が消失し続けている*と言われる中、SDGsの目標13の達成には、この状況に歯止めをかけることが必要不可欠です。

*FSCジャパン「世界の森林問題とFSCの価値」<https://jp.fsc.org/jp-jp/fscnew/1-3>(参照2020.9.12)

■目標15「陸の豊かさを守ろう」

「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目標として掲げています。前述した「持続可能な開発」の原則に沿った森林経営が、目標そのものに盛り込まれているのです。
例えば、日本の森林は人工林の多くが戦後の植林から70年以上経ち主伐期を迎えるなど資源は充実しているため、森林資源の減少が課題となっている世界各国と比べて、資源が豊富だから問題ないと考えている方も多いかと思います。しかし、繰り返しの間伐、主伐やその後の再造林といった適切な管理は多くの地域では十分に進んでおらず、森林の保水力が落ちているといったような問題を抱え、これはこれで持続可能とは言い難い状況なのです。これから先の未来においても木材を使い続けるためには、森林を持続可能な形で経営するということが欠かせません。

画像2:持続可能な経営がなされている天竜の森林

 

上記以外の目標との相関も見逃せません。例えば、現在16億人もの人々が森林に生計を依存している*と言われています。いわゆる木材産業に従事している人々だけでなく、森で採った木の実や動物の肉を食べたり、木を薪にしたりと、直接的に森林の恩恵にあずかっている人々が今も少なくないのです。 森林の減少はそれらの人々の生活に直結する問題です。これは目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」と関連しています。また、雨として降り注いだ水は森によって浄化され育まれることから、目標6「安全な水とトイレを世界中に」とも関わっていると言えるでしょう。
目標12「つくる責任 つかう責任」は、前述した目標13や15の達成のためにも重要です。森林減少に歯止めをかけ、持続可能な森林経営に寄与するためには、”つくる”側が積極的に合法木材などのフェアウッド**を活用することや、”つかう”側が意識的にエシカル消費***を行うことが求められるからです。

*国際連合広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字」2018.12.24<https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/>(参照2020.9.12)
**フェアウッド=伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材や木材製品のこと
***エシカル消費=人や社会、環境に配慮した、エシカル(ethical:道徳的、倫理的)な消費活動のこと

FSC®について

 「持続可能な森林経営」を語る上で欠かせないのが、国際的な森林認証制度です。その代表的なものの1つとして、「責任ある森林管理を世界に普及させること*」を目的としたFSC®(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)の認証があります。FSC®認証は、特に山側のFM(Forest Management:森林管理)認証が世界において一元的な規格であったり、そうした認証取得に先住民への配慮が規定されていたり、認証取得後の規格運用までもがより厳しかったりと、信頼性が高いと言われています。
合法性や持続可能性などが認められ、FSC®認証を受けた商品にはFSC®のロゴを含む認証マークを使用することができます。企業の取り組みにより、身近な紙袋やパッケージにおいてもこのマークを目にする機会が増えました。エシカル消費のための分かりやすい目印であると言えるでしょう。FSC®認証マークの付いた商品を購入することは、SDGsの推進と貢献につながります。SDGsとFSC®は密接に関連しているのです。

*FSCジャパン「FSC®について」<https://jp.fsc.org/jp-jp/fscnew>(参照2020.9.12)

画像3:FSC®ロゴマーク

マルホンの取り組み

マルホンでは、環境保全活動と持続可能な木材資源の保持に早期から取り組んでいます。2006年に FSC®(FSC®C004392)及びPEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification:森林認証制度相互承認プログラム)のCoC(Chain of Custody:加工・流通過程)認証を取得し、認証木材の商品化を積極的に進めてきました。2016 年には独自のデューディリジェンスプログラム(Due Diligence Program:適正詳細調査)*に基づく木材調達プロセスを導入し、その実行のため定期的に木材調達先への訪問も実施しています。マルホンでは、全てのカタログ商品について、トレーサビリティと合法性を確認し、環境にやさしい木材調達を徹底しています。
また、2020年にオープンした福岡ショールームは、建物に使用される木質原材料のほぼ全てに認証材を使用し、九州初となるFSC®プロジェクト全体認証(FSC-P001795(2019 年))を取得しました。

*デューディリジェンスプログラム=リスク(当社の場合は、木材の合法性や森林の環境保全に係るリスク)を詳細に調査する手続きのこと

画像4:福岡ショールーム

 

 私たちの生活を脅かしている問題のうち、気候変動と森林の関連については前述の通りですが、森林の減少が感染症の流行を助長しているという報告もあります。報告では、新興感染症の約1/3が森林破壊などの土地利用の変化に関連している*ことが示されています。

現在、世界では異常気象や感染症だけでなく、貧困、国家や人種間の不平等など、解決すべき問題が山積しています。持続可能な世界の実現のためには、SDGsの目標に向かい、世界全体で取り組む必要があります。まずは、マイバッグの持参や認証マークの付いた商品の購入など、身近なところから始めてみませんか。

*日経ナショナル ジオグラフィック「深刻な感染症、森林破壊のせいで増加、研究」2019.11.28<https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/112600684/>(参照2020.9.12)

<参考文献>
井上雅文・長坂健司・安藤範親編著 多田忠義・鮫島弘光ほか著(2020)『SDGs時代の木材産業-ESG課題を経営戦略にどう組み込むか?-』株式会社日本林業調査会.
蟹江憲史著(2020)『SDGs(持続可能な開発目標)』株式会社中央公論新社

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