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NO.698 モノ編

2017.12.26 | FSC 国産材 天竜スギ

天竜スギー天竜の自然に育まれる環境にやさしいフローリングー

はじめに

 奈良の吉野スギ、三重の尾鷲ヒノキに並ぶ「日本三大人工美林」のひとつとして名高い静岡の天竜スギ。天竜スギが育つ浜松市天竜区は、南アルプスの西南部に位置し、面積の約90%を森林が占める自然豊かな地域です。
今号の「見る木活かす木」では、優良な国産材として知られる天竜スギについて、他の地域で育つスギと比較してどのような優れた特徴があるのかご紹介いたします。

天竜スギの歴史

 人工林としての天竜スギの歴史は古く、現在から500年以上も前、室町時代中期の文明年間(1469年~1487年)に秋葉神社本宮の境内に植林されたのがはじまりだとされています。その後、元禄9年(1696年)に静岡県北部にある山住神社の宮司、23代大膳亮茂辰公が紀州熊野から杉の苗木3万本を持ち帰って植林を行い、本格的な天竜林業が開始したのです。

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画像1:秋葉神社と天竜スギ

 そして、天竜スギを語る上で欠かせないのが、明治時代の実業家、金原明善の存在です。天竜美林の側を流れる天竜川は、かつて「暴れ天竜」として恐れられていました。急峻な地形ゆえ、幾度も洪水などの水害を引き起こしていたためです。明善は、長年水害に悩まされてきた地域の人々を守るため、治水事業に立ち上がります。私財を投げ売り、堤防の補強工事や治水についての教育へ力を注ぐだけでなく、大雨が降ると大量の土砂が流れだしてしまっていた天竜川の様子を見て、明治18年(1885年)より森への植林を開始しました。このときに植えられた多くの木が後の天竜スギとなり、天竜林業の礎となったのです。これは明治政府が、保安林制度と営林監督制度を導入することを目的として、1897年(明治30年)に「森林法」を制定し、全国的に林業強化政策が進められるより10年以上も早い取り組みでした。

画像2:天竜川

現在でも「川を治めるにはまず山を治めよ」と言った明善の言葉の通り、現在は立派に育った木々が治水の役割を果たし、人々の暮らしを守っています。

天竜スギの特徴

<長く育ち、美しい表情を持つ>

 スギはヒノキと並び、日本国内で最も頻繁に用いられる建築材です。ラテン語で「日本の隠れた財産」を意味する「Cryptomeria Japonica」が学名となるほど、優れた特性を持つスギですが、その一つに「まっすぐ長く成長する」という点が挙げられます。日本語の「スギ」の語源も、まっすぐに育つ木=「直ぐ木」であると言われており、天竜スギの大きな特性の一つとなっています。比較的温暖な気候である天竜地区では積雪による根曲がりが発生し難いため、長尺で径の太い材を切り出すことができるのです。

画像3:天竜スギの人工林

このように、長尺で幅広の材が確保できる天竜スギは、フローリングやパネリングとして使用すると継ぎ目が少なくすっきりと張り上がるため、空間を美しく仕上げる材料として重宝されています。
さらに、成長過程において丁寧に人の手で枝を落とすため、生節が多くあらわれる、というのも天竜スギの特徴の一つです。含まれている油分が多いため、ツヤがあり見た目にも美しいだけでなく、水や塩害に強いという声もあります。

<高い強度>

高い強度も天竜スギの大きな魅力です。とくに心材部分は耐久性、耐水性に優れていると言われており、来るべき東海地震に備える、静岡県中部に建設された体育館“このはなアリーナ”では、その天井、壁、柱に天竜スギが使用されています。高い強度を誇る天竜スギを7000本(約940㎥)も使用し、さらに鉄骨を組み合わせた構造は、震度7の揺れにも耐え得ると試算されています。

画像4:このはなアリーナ

図1:スギのヤング係数

図1:スギのヤング係数

環境に配慮した認証材

環境に配慮した認証材 近年、さまざまな場所への使用が広がっている「認証材」ですが、世界の森林面積のうち認証を取得しているのは約10%、日本国内においては約5%とも言われています。

 当社で取扱う天竜スギは、689号で紹介した尾鷲ヒノキと同じく、FSC®(Forest Stewardship Council®(森林管理協議会)の略称)による国際基準の認証を取得しています。

FSC®の森林認証の目的は「環境保全の面から見て適切で、社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理」の推進です。目印となるFSC®のロゴマークが使用されている製品を選択することにより、環境に負荷を与えることなく生産された木材を選び取ることができます。認証材を選択することは、環境保護の手助けとなるのです。

▼FSCジャパン
https://jp.fsc.org/jp-jp

画像5:FSCのロゴマーク

 

 天竜スギが生育する浜松市は、静岡県や天竜林材業振興協議会とも連携してFSC®認証の取得を推進し、「価値ある森林の共創」を目指しています。

浜松市天竜区及び北区引佐地域の森林のうち、約42,000haがFSC®のFM認証(Forest Management 認証:ある特定の森林区域でFSC®原則と基準を満たす管理がされているか確認するもの)を取得した森林とされていますが、これは市町村別取得面積では日本第一位となっており、その70%がスギの森林となっています。天竜スギを使用することは、環境にやさしいだけでなく、浜松の森林を世界に発信し、次の世代に継承することにもつながるのです。

マルホンの天竜スギ

当社の天竜スギは、1946年に3人の林業家により創業されて以来、70年にわたり天竜材にこだわり続けてきた“フジイチ”の材を使用しています。天竜の山と木の生育状況を知り尽くしているフジイチだからこそ提供することができる素材と、マルホンのグレーディング及び加工技術を掛け合わせて品質を極め、100%FSC®の天竜スギをご用意いたしました。
天竜の山にこだわり、天竜の山の恩恵を受けてきたフジイチでは、未来の天竜林業のための植林活動も行っています。

【製品情報】
>天竜スギ 無垢フローリング
>天竜スギ 無垢パネリング

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ショールームのご案内

無垢木材の「質感」・「香り」・「あたたかみ」を実際に体感いただくため、 株式会社マルホンでは、浜松と東京、大阪、福岡の4箇所にショールームを開設。 いずれもフローリングやパネリングを始めとする、国内外の豊富な木材をご紹介しております。
専門スタッフが適材適所の木材選びをサポート。 目で見て、手で触れて、ダイレクトに感じて、ご希望に合った無垢木材をお選びください。

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