含水率

 含水率(がんすいりつ)とは、物質に含まれる水分の割合を示したものです。木材と水分の関係を順序よく理解するためには、含水率から入るのがスムーズでしょう。木が含んでいる水分の量は樹種によっても違いますし、同じ木でも辺材か心材かといった場所によっても異なります。さらに生育環境や季節によっても変動します。針葉樹は、心材の含水率は40〜50%、細胞が活発に活動していた辺材部分では100〜200%といった値になることも珍しくありません。広葉樹の場合は心材と辺材において含水率の差が大きいものもあれば小さいものもあり、様々です。ポプラのなかには、伐った時に心材を指で押すと水が飛び出すぐらいにたっぷり含んでいるものもあるほどです。

 ところで含水率は、なぜ100%を超える数値が出るのか不思議ではありませんか。水分と言ったら、ものの総量に対する水の量の割合と捉えるのが通常です。たとえば「みかんの80%は水分」といえば、100gのみかんに80gの水が含まれていることになります。ところが木材の世界では違って、水を一切含んでいない組織の重量を100と考えます。乾量基準含水率(全乾法)と呼ばれる表し方で、これに対してみかんの例は湿量基準含水率といいます。  
 木材の含水率は、下記の計算式から算出します。

含水率(%)=(木材の乾燥前の重量(g)-乾燥後の重量(g))×100
              乾燥後の重量(g)
 

 木材にどれくらい水分が含まれているかは、木材の重量と含水率が分かればこの計算式を使って推定できます。たとえば重さ100gのスギ材を乾燥させたら、89gになったとします。上記の式で計算してみると、このスギ材の含水率は、約12%となります。では先ほどのみかんはどうでしょう。100gのみかんを乾燥させたときの重量が20gだとしたら、水分量が80g、木材の計算式にのっとると……、なんと含水率は400%にもなります。  

 全乾法に基づいた上記の計算式はJISで規定されており、正確な値を算出できますが、破壊試験であるため、商品の含水率の測定には向きません。建築やインテリアの施工現場において含水率を測定する場合は、含水率計を使用するのが簡便でおすすめです。含水率計には、木材の誘電率と含水率の関係を利用した高周波式と、木材の電気抵抗と含水率の関係を利用した抵抗式の2種類があります。