DIYでもできる隙間の補修

 無垢木材が持つ調湿機能は、温暖期には湿度を安定させ、寒冷期には結露を抑えてくれます。その現象として膨張と収縮を繰り返し、稀にムクレや隙間を引き起こす場合があります。しかし、無垢木材は補修が比較的容易であるため、床材としての機能を損なうことなく、無垢木材の効用を永く楽しむことができます。
■隙間の補修
 無垢フローリングの施工後に発生するトラブルは、膨張と収縮によるものですが、その原因は現場環境の変化によるものが大半と思われます。そのため、施工現場の環境を整えるとともに、無垢木材の性質に合わせて正しく施工することで、トラブルは未然に防ぐことができます。
 無垢フローリングのトラブルは大きく分けて、(1)カッピング、(2)クラック(割れ)、(3)隙間の3つ。これらのうち(3)隙間は、難易度が最も低く、部分的なものであれば、DIYでも比較的簡単に補修することができますので、その方法をご紹介します。
《隙間の補修手順》

①補修箇所の両脇にマスキングテープを貼ります。
 ※隙間すれすれに貼ってください。

②クリア(透明)とホワイトのシリコンを混ぜ合わせます。
 ※ホワイトは全体の2割程度
 ※クリアのみでは原料の透明感が残ってしまうため、ホワイトを加えることで、それを打ち消します。

③ペースト状の顔料または油絵具で着色します。
 ※水系の顔料は不可
 ※色が均一になるようよく混ぜます。
 ※シリコンは空気に触れると固まってしまうためビニールやラップで覆ってください。

④コーキング用のヘラを使用して③で隙間を埋めます。
 ※隙間の奥まで、しっかりと押し込みます。

⑤目地に沿ってヘラなどを使い、余分なシリコンを取り除くとともに、均一な窪みをつけます。
 ※歯ブラシの柄を使うと便利です。

⑥マスキングテープを剥がします。

《ポイント》
●1、2箇所補修してみて、至近距離での確認だけではなく、日常生活の視点から見て確認してから、全体の作業を行うとミスを防ぐことができます。
●シリコンには多少艶があるため、ウレタン塗装の場合はそのままで、オイル仕上げなどのマット調の場合は、補修箇所をスチールウールで磨くと艶を落とせます。
●作業終了後、シリコンが完全に固まるまで24時間は、埃が付着しやすいため掃除しないようにしてください。

■膨張時の補修
 膨張によって2枚の板がぶつかり合い、盛り上がってしまった場合、その部分をサンダーで削り取り、塗装します。しかし、削り取った部分が収縮して凹んでしまう恐れがあるため、作業には慎重を要します。
 施工時にハガキ一枚分のスペーサー(厚み0.3㎜程度)を入れ、きつく締めすぎないようにするのは、膨張による不具合の発生を防ぐためです。

■補修は1シーズン様子をみてから
 無垢木材は“生きている素材”。そのため極端なものを除いて、施工後すぐに補修せず、最低でも1シーズン様子を見てから取り掛かるようにしてください。
 無垢木材は、万一問題が発生しても補修できる素材です。しかし、問題を未然に防ぐことこそが重要です。もしも、施工前や施工時に不明な点があれば弊社担当者までお問い合わせください。