空間と空間を緩やかに区切り、光や風を取り込む格子。
格子戸、格子窓、面格子、ラティスなどさまざまな名称や用途で用いられています。無垢のフローリングやカウンターを使用した空間に、無垢で作った格子をコーディネートすると、空間そのものの質を高めます。今回は「間仕切り格子」と呼ばれる内装用の無垢の格子についてお届けします。
格子:ウォールナット
格子の効果 ‐緩やかな区切り・光や風の通り道‐
古都を歩くと、家々の格子が街並みに趣を添える様子が目に入ります。社寺建築に由来する格子は、室町時代には格子窓として用いられ、防御の役割が強い、太くてしっかりしたものでしたが、時が経つにつれて、細くて優美な意匠性の高い形状に変化していきます。町家に見られる形状は、商いの種類や店構えの立派さの象徴ともなりました。
防御や象徴としての役割だけではなく、格子には壁や扉ほど厳密に空間を区切らないため、閉塞感を和らげる効果があります。また、桟の隙間から視覚的な情報が得られ、開放的になりすぎず安心感が得られます。風の通り道を作ったり、光による陰影を生んだりするのも大きな効果です。
格子:サペリ
自然素材ならではの効果や使い方・空間全体のコーディネート
無垢木材で作られた格子には、自然素材ならではの魅力があります。張り合わせではないため、表面が剥がれるようなことはありません。しっかりとした厚みから存在感が感じられるとともに、年月を経るごとに味わいが増していきます。特にオイルフィニッシュなど浸透性塗料で仕上げた無垢の格子は、より木の質感を活かすことのできる仕上げです。
このような塗装により、素材感を楽しむことができたり、木の細胞の凹凸が光の乱反射を起こし、柔らかな光を取り込んでくれるなど、無垢木材ならではの良さを感じることができます。
格子:ホワイトアッシュ
木の種類は10樹種からお選びいただくことができ、それぞれ違った表情や色合いが楽しめます。例えばアメリカンブラックチェリーは、淡い琥珀色の材面が経年変化で深みを増していく、柔らかな木目を持つ木。Arbor植物オイルで仕上げることで素材の色が引き立ちます。一方で、ホワイトアッシュやホワイトオーク、タモは、はっきりとした木目が特徴的です。そのままオイルフィニッシュで仕上げるのはもちろん、塗装性の良さを活かし、着色をしても美しく仕上がります。
このようにさまざまな樹種をご用意しているため、フローリングやカウンター、階段材などと同じ樹種で合わせたり、木目や色など表情の似たものをセレクトすることができます。樹種については、以下をご参照ください。
▼オーダーメイド内装部材
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格子のサイズをカスタマイズ
無垢の格子は、図1のように基本モジュールが幅900mm×高さ2400mmと設定されています。しかし、マルホンでは原材料となるランバー(原板)を使って一から作るため、オーダーに合わせ、部材の厚み・幅・長さをカスタマイズすることができます。
図1:基本モジュール
そもそも格子は、図1のように、上下方向を支える「上枠」「下枠」と、左右方向を支える「左格子」「右格子」の中に、「縦桟(格子子)」と「横桟(貫)」が入って構成されます。それぞれ20〜30mm×60〜80mm前後の部材を、現場で組み上げて作ります。
格子は多少の歪みでも目立ってしまうので、横桟を入れる、もしくは縦桟を太くしっかりしたものにすることによって、まっすぐに矯正します。横桟を入れる場合は、1200mm以上の間隔を空けないよう入れていきます。現場では一旦仮組みをし、上下枠の下穴に合わせてビス止めを行った後、接着剤と釘を併用して組んでいきます。設置する際は横桟が格子の裏面にくるようにすると良いでしょう。
無垢で作るさまざまな格子
リビングなど家族が集う空間に使用することで、プライベートなスペースを確保しつつもお互いの様子が掴めたり、玄関におくことで来客からの簡単な目隠しや灯り取りになるなど、格子の役割や使われ方はさまざまです。そのため、使うシーンによってふさわしい格子も異なります。役割が違えば形も異なるというわけです。無垢で作る格子の場合、樹種選びやサイズのカスタマイズにより、場所や目的に合った格子に仕上がります。
ウォールナット Arbor植物オイル仕上げ
階段からLDKにつながるスペースに使用した例。
フローリング、階段、笠木と同じ樹種で統一。
ホワイトアッシュ ウレタンブラック仕上げ
塗装性の良いホワイトアッシュに、ウレタンで黒く着色。
芯材となる集成材柱に無垢材を張って仕上げています。