無垢の巾木のよさ
―バリエーション豊かで長く使える部材―【682 号】

 無垢木材から作られる巾木は、非常に上質で、生活の中で生じるキズや汚れを直すこともでき、長く気持ちよく使い続けることができます。素材や形状、サイズなどのアレンジの幅の広さも魅力です。また、無垢フローリングを張った空間に、無垢の巾木を合わせることで、そのよさを相乗的に活かすことができます。

巾木の役割

 今いる空間の足元近くに視線を落としてみてください。ちょうど壁面の一番下、床面との境目に、細長いものがあるのが目にとまりませんか?写真1にもあるように、これが「巾木」です。
 巾木は、壁面と床面の堺目に設置する細長い横木のことです。その効果には、掃除の際、雑巾や掃除機でうっかりつけてしまう壁面の汚れや、時間とともに生じる壁面のひび割れなどの劣化を防ぐということがあります。きれいに維持し続けることが非常に難しい異素材の継ぎ目を、巾木がカバーしてくれるのです。特に床面に無垢フローリングを張る場合には、木の動きに対応できるように部屋の端に隙間を設けることが多く、巾木の役割は非常に重要です。
写真1 空間における巾木

巾木の種類と無垢の巾木のよさ

 身近にある巾木はどのようなものでできているでしょうか。住宅で最も一般的な素材は、下の図1にあるように、基材がMDFでできていて、その上に木柄を印刷したシートが張られた巾木です。その他には、ビニールや石、タイル・アルミなどの金属でできたものもあります。さまざまな素材で作られた巾木の中でも、無垢の巾木のよさとしていえることは、厚みに由来する自然素材ならではのしっかりとした質感により、空間の質を上げることができること、木材の種類の豊富さや加工性の高さを活かしたアレンジの幅が広いこと、お手入れをして長く使い続けることができることの3点があります。
 素材の種類に加えて巾木の納め方にも、図2のように「出巾木」「面巾木(フラット巾木)」「入巾木」などのバリエーションがあります。
図1 巾木の素材とその特徴
図2 巾木の納め方
図2 巾木の納め方

無垢の巾木バリエーションと選びかた

 それでは、多種多様なアレンジが可能な無垢の巾木を選ぶには、どのように考えていけばよいのでしょうか。ポイントとなる切り口はどのような素材に合わせたいかということです。

 ①フローリングと同じ樹種に合わせる

 フローリングと同じ樹種やそれに近い樹種が、巾木のラインナップ内にある場合は着色をせず、クリアーの塗装で仕上げていきます。クリアーの塗装には、浸透性塗料による塗装と、コーティング系塗装の2つがあります。主な浸透性塗料はArborシリーズのArbor植物オイル、Arbor蜜蝋樹脂ワックス、Arbor針葉樹白木用オイルワックスです。浸透性塗料で仕上げた場合の長所としては無垢木材そのものの素材感を活かせて、お手入れしながら長く使うことができることが挙げられます。ウレタンクリアーやウレタンマットクリアーなどのコーティング系塗装の場合は、木の質感は残した仕上げながら、気軽に水拭きができるというメリットがありますが、サンディングなどで木についたキズや汚れをお手入れすることは難しくなります。

 
 ②特定の樹種の色・柄に合わせる
 (ラインナップ内に同じ樹種や似たような樹種がない場合)

 巾木のラインナップ内に、合わせたい樹種や似たような樹種がない場合は、木目が類似した樹種を選んで着色していきましょう色はもちろん重要な要素ですが、無垢木材の場合は、木目が近いもので合わせることも、表情を近づける際のポイントになります
 例えば、床暖房対応フローリングのバーチ材は、寸法安定性を高めるための工程である熱処理によって黄金色になっていますそのため、バーチに合わせて巾木を作りたい時は、素材となる樹種には、バーチと同様に穏やかな木目を持つハードメープルを使いウレタンピュアNTバーチで着色すると、表情を近づけることができます。木目の印象は、針葉樹/広葉樹、環孔材(タモなどはっきりした木目の樹種)/散孔材(メープルなどやさしい木目の樹種)といった分類が同じものであると、近い印象になります。
 ③無垢木材以外の素材に合わせる
 
 建具に合わせて濃い目の色で仕上げたい、壁に合わせて白っぽい色で仕上げたいという場合には、下記のラインナップの色味で着色することができます。この場合は、着色に向く以下の樹種を選ぶとよいでしょう。特に濃い色を着色する際は、ホワイトアッシュ、タモ、ホワイトオークなどのはっきりとした木目の樹種を選ぶことで、木目の表情も活きてきます。
 
 樹種や塗装を選ぶと同時に重要なのがサイズや形状です。形状は下の4パターンに加え、ご要望の断面形状に応じてお作りすることが可能です。また、最近は、意匠的な意味合いから巾木がない場合や、小さくすっきりとしたサイズの巾木を取り付ける場合がありますが、巾木本来の機能を踏まえた上で、サイズを考えていくのも一案です。例えば、日頃の掃除に用いるモップや掃除機のヘッド部分は2〜3cmの高さがあるので、それ以上のサイズのものだと、掃除をしていて壁面を汚す心配が減り、安心です。 

無垢フローリングと巾木の組み合わせ

 では、バリエーション豊かな無垢の巾木を実際の場面でどのように使うかみてみましょう。素材選びや塗装選びのポイントとなるのは、何に対して素材感や色味を合わせていきたいのかを考えることです。床、建具、壁、家具、キッチンなどが焦点となります。