●対策①乾燥
「動き」を最小限にするために最も有効な方法が乾燥です。乾燥によって長さ・厚さ方向ともに含水率のムラをなくし、「動き」の原因となる内部の応力を残らないようにすることができるからです。木材には最も材が安定するといわれている含水率(平衡含水率)があり、その含水率まで乾燥させることが、木材の「動き」を抑制するために重要となります。
▼平衡含水率について、詳細はこちら。
平衡含水率
また、乾燥による効果は、それだけではありません。材の強度を高めたり、変色菌や腐朽菌の発生を防止したりする効果も持ち合わせているため、無垢材を安心して使用するためには欠かせない工程でもあるのです。
方法としては天然乾燥と人工乾燥の二種類に大別されますが、乾燥させる木材の性質を考慮し、適切な乾燥方法を選択することが大切です。
天然乾燥には、丸太の状態で乾燥させる方法と製材後に乾燥させる方法があります。メリットは費用が少なくて済むこと、十分に乾燥すれば収縮率が小さく含水率のムラがなくなること、デメリットは乾燥に時間がかかることです。
一方、人工乾燥には高温乾燥や蒸気式乾燥、真空乾燥などの様々な方法があります。メリットは天然乾燥で起きやすい割れなどの損傷を防ぎ、天然乾燥では到達できない所定の含水率まで乾燥できること、デメリットは設備が必要なためコストがかかることです。
ただ、この人工乾燥により7~8%まで含水率を下げられた木材は、そのまますぐに加工を進めてゆくと、形になった後で逆に湿気を吸って動いてしまうことがあります。当社ではそれに対処するため、そのような木材を温度湿度共に管理された状況に一定期間置き、完成後の品質の安定性を高めています。(写真1)
これには“イコライジング”、“コンディショニング”と呼ばれる2つの工程があり、乾燥の最後に行います。“イコライジング”は、乾燥室内で仕上がり程度にバラつきのできた材料間の含水率を均一化すること、“コンディショニング”は乾燥応力の緩和を目的に行われます。乾燥後に応力が残っていると表面を削った際に反りが生じ、寸法が変化してくるのですが、こうした乾燥後のトラブルはこの工程により減らすことができます。
弊社の工場では、乾燥室内もしくは専用のコンディショニングルームを使って調湿作業を行い、規定の含水率に仕上げています。含水率に不備があれば出荷を差し止め、弊社が指定する含水率になるまでこの工程を繰り返しているのです。
写真1 コンディショニングルーム