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無垢フローリング、「長さ」の違い【690 号】


画像1:無垢フローリング
施工事例

 フローリングは他の内装材に比べて、体に一番触れる場所ともいえ、また内装デザインの要でもあります。材によって、部屋の雰囲気や印象が大きく変わるため、選ぶ際には、「色」、「木目」、「風合い」、「張り方」、「巾」などさまざまなポイントでイメージした雰囲気に合う材を選ぶべきです。
 今回は、その中でも「長さ」をポイントに床材を選ぶことについて取り上げます。

フローリングの形状

 フローリングの「長さ」についてご紹介する前に、フローリングの形状について見てみましょう。

■ソリッドワンピースタイプ


画像2:ソリッドワンピースタイプイメージ図


 「厚み」、「巾」、「長さ」につなぎ目のない1枚もののフローリングのことをソリッドワンピースといいます。原木からそのまま切り出して作るため、自然の風合いを備え、「これぞ本物の無垢木材」と言えるダイナミックさがあります。丸太から贅沢に切り出されて作られるため、無垢木材ならではの木の自然な表情が豊かに表現されやすく、重厚感、高級感を住空間に演出してくれます。欧米諸国ではワンピースタイプが主流であり、本物志向のお客様に人気があります。
■ソリッドユニタイプ


画像3:ソリッドユニタイプイメージ図


 無垢木材を縦方向に3~6枚継ぎ足して、「定尺」(1,820mmの長さ)にしたものをソリッドユニタイプといいます。ユニタイプは、製造工程の段階で節や割れなど商品にできない部分を切り取ったさまざまな長さの板を、木柄や色合いなど素材の特徴がある程度均一になるようにして、数枚をつなぎ合わせることで、木材を有効活用しています。よって、ソリッドワンピースと比較して低グレードの原材料を使用できることから製造コストを落とすことができます。つなぎ合わせるピースの多くは250mm程度のもののため、細かく木柄の変わり目ができます。日本国内で販売されている無垢フローリングの多くは、このユニタイプになります。

 丸太からは、まず意匠性が高く、大きく、長いワンピースタイプのものから製材します。1本の丸太からでも取れる部分が少ないからです。そのあとに意匠が悪い部分を切り取ったりして、ユニタイプで使用する短いピースを切り出すのです。よって、希少価値が高いワンピースタイプの方が、金額的にも高価になってしまうのです。

フローリングの「長さ」

 次に「長さ」について商品の構成を説明します。ソリッドワンピースには商品ケースごとに、長さが一定のものだけそろえた「定尺」商品、長いものや短いものをバラバラに組み合わせた「乱尺」商品、3~4種類の決まった長さがミックスされた「ネステッド」商品があります。

 定尺=910mmや1,820mmなど、一定の長さでそろっている商品
 乱尺=長さが一定ではなく、400mm~1,800mm程度のさまざまな長さで構成されている商品
 ネステッド=3~4種類の決まった長さがミックスになっている商品(606mm、909mm、1,212mm、1,818mm等)

 それではこうした、フローリングの「長さ」構成の違いやソリッドやユニの違い、それらの張り方によって、部屋の印象はどのように変わるのかご紹介いたします。

木目の連続性がある整然とした印象にしたい

 木目の連続性がある整然とした印象にしたいという方には、「定尺」商品がお勧めです。
 定尺フローリングの張り方には色々ありますが、一定方向にずらして張る方法を「りゃんこ張り」、または「ずらし張り」といいます。特に長さの半分の寸法ずつずらす方法を「レンガ張り」とも呼びます。木口のつなぎ目を直線上で交互にそろえることで、規則性が出て、整然とした印象の部屋に仕上がるのです。
画像4:定尺フローリング施工事例
 定尺フローリングでは少し変わった特徴的な張り方もできます。

 「韓国張り」という張り方は、朝鮮半島の民家で使われている張り方であり、短い素材を規則正しく配列し、長尺材で挟み込むことで、整然としたうえにさらに落ち着いた空間になります。


画像5:韓国張り・すだれ張りイメージ図



画像6:すだれ張りフローリング
施工事例


 さらに「すだれ張り」という張り方も可能です。定尺フローリングを巾方向の目地をそろえて張る手法です。天井によく使用される張り方を床に応用しているものとなりますが、横の広がりを感じさせます。

 このように「定尺」商品では、できるだけ長い材を使うことで木目の連続性が生まれ、落ち着いた雰囲気を楽しめます。また、「韓国張り」や「すだれ張り」をお選びいただくと、他ではあまり見られない独創的な空間を演出することもできます。




木の自然な風合いが感じられる、ナチュラルなテイストにしたい


画像7:乱尺フローリング
施工事例
 無垢木材の自然な素朴さ、風合いを感じたいという方には、「乱尺」商品がお勧めです。「乱尺」商品は、一般的には400mm以上のさまざまな長さのフローリング材の四方に実加工を施したものです。施工する(「乱尺張り」)とフローリングの目地がほどよい程度にバラバラと入り、意匠性が高まります。一方で、一つずつのピースもユニタイプに比べ長くなるため、木目の表情をはっきり楽しむことができます。仮並べにより色合いや木柄のバランスを調整したり、木口の目地が他の板と重ならないような施工上の工夫を施したりすることで無垢木材の豊かな表情を楽しめ、床面の雰囲気がよりいっそう引き立ちます。
 また、フローリングを施工する際には、部屋の大きさに合わせて材料をカットする必要があるため、どうしても端材が出てしまいます。ユニタイプの場合、あまり部屋の端につなぎ目や短い部分がくると意匠が悪くなるため、端材が出る割合が10%~15%だと言われています。一方で、「乱尺」商品の場合、そうした配慮が不要なため、ユニタイプと比べ、歩留まりが2倍程度良くなります。つまり、捨てられてしまう材料が少なくなるので、環境に優しいフローリングとも言えます。

 「乱尺」商品やユニタイプは、どちらも「定尺」と比べると目地やつなぎ目が多くなるため、同じような意匠ではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。

 実際に「乱尺」商品とユニタイプとの施工例を比べて見てみましょう。

画像8:乱尺とユニの施工事例比較

 写真で見比べていただくと、ユニタイプはより目地やつなぎ目が多くなるため、派手な印象が強くなります。一方で、「乱尺」商品は、ピースの色合いや木目が異なっているため、目地が明瞭であり、一枚一枚がより独立したかたちで木の印象を表現しており、個性が出ます。「乱尺」商品はユニタイプと比べて、余分な手を加えていないからこそ、自然素材ならではの性質が活きてくるのです。

 ソリッドワンピースには、「定尺」商品、「乱尺」商品及び「ネステッド」商品と、さまざまな「長さ」があり、「長さ」の違いによって部屋の印象がどのように変わるのか、ユニタイプとも比較してご紹介してきました。
 色、木目、節の出方など、いろんなポイントで部屋の雰囲気が変わります。ご希望の雰囲気の部屋に仕上げるために、「長さ」にもこだわってみませんか。