■ウォールナットの時代
17世紀後半、王政復古によりチャールズ2世がイングランド王として即位します。「陽気な王様」と呼ばれ、社交や芸術を愛した博識ある国王のもと、ウォールナットが家具史上に大きな発展をもたらします。
粘りがあり加工性や接着性に優れるウォールナット材は、当時の家具職人たちにも好んで使われました。それまで家具材として多用されていたのはオーク材でしたが、ウォールナット材を使用するようになったことで、自由で精巧な造形が可能となり、曲線やねじれを駆使し、「カブリオールレッグ(猫脚)」などの新しい造形が生まれます。高貴な印象を与える独特の杢などの美しさと相まって、富の象徴として王族や貴族の間で愛され、艶やかなビクトリア調やロココ調家具となったのです。ヨーロッパの家具市場では、ウォールナット材による製品が人気を独占し、「ウォールナットの時代」と呼ばれました。
時を越え、20世紀に入ってからもイームズなどの有名デザイナーも、ウォールナットの無垢材を用いてデザインした椅子を発表しています。
■希少価値の高いウォールナット材
日本では1970~80年にかけてウォールナットがブームとなり、内装用の化粧単板や家具に用いられました。その人気の高さから、ウォールナットの名前は世間に知れ渡り、今日では高級材の代名詞となっています。
そうした変わらぬ人気と需要の高さから、良質で幅広のウォールナット材は入手が困難で希少価値の高い材と言えます。