クルミの樹を材木として着眼すると、まず、乾燥時の狂いは少なく粘りがあり、加工性が良好であると言えます。そのため、内装建材として適材です。また、木質が緻密であるため、古くからライフル銃などの銃床材にも用いられてきました。さらに、クルミの樹は成長が速いことから、古くから便利な木として生活の隅々において細工を施され利用されていました。例えば日本においては、長野県や群馬県で小正月(1月15日)に食べる小豆粥(邪気を払い、家族の無病息災を願って食べる風習がある)の粥かき棒や粥の箸などにクルミが用いられています。
次にクルミ材の特徴としては、穏やかな木目があげられます。早材から晩材への道管の直径の移行が認められ、年輪は存在しますが、環孔材のように明瞭ではないため半環孔材といわれています。そして、心材はくすんだ淡い褐色をしており、辺材は灰色を帯びた白色であることから、全体としてあたたかみがある雰囲気となります。
最後に、クルミの気乾比重(木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値のこと。木材の硬さや強度を表す基準の一つで、数値が大きいほど重く、小さいほど軽い)は、0.53と広葉樹の中では軽い部類に入り、素足で触れたときにまるで針葉樹のようなぬくもりを感じることができることも特徴として挙げられます。

画像2:樹種による気乾比重の違い

画像2:樹種による気乾比重の違い
以上のことから、クルミをフローリングにすると、少し粗目の肌ざわりが生まれ、その穏やかな色味と相まって、どこか素朴な印象を受け、人気の秘訣となっています。