FSC®認証100% 国産広葉樹無垢フローリング
-FSC®認証を取得した国産クリ・国産ナラ・国産ヤマザクラ-【723 号】

 今、世界では1年間に521万ha以上の森林が失われており*、これは1分間に東京ドーム2個分の計算になります。無計画、もしくは違法伐採による森林資源の減少は、地球温暖化や異常気象を引き起こす一因となっています。これらを抑制するためには、成長分や植林した以上に伐らないといった環境保全を前提とした計画的な伐採を実施する、長期的な森林管理が不可欠です。
 また、2015年9月には国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)と呼ばれる国際社会共通の目標も定められました。世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるための17の目標と169のターゲットで構成されているものとなります。この17の目標には、『13.気候変動に具体的な対策を』、『15.陸の豊かさを守ろう』など、森林管理に関わりの深い項目も含まれています。
 マルホンでは2006年より、国際的な森林管理の認証機関であるFSC®-CoC認証を取得しており、国産材商品として、FSC®認証尾鷲ヒノキ無垢フローリングFSC®認証天竜スギ無垢フローリングに次いで、FSC®認証国産広葉樹無垢フローリングの開発を『12.つくる責任つかう責任』も踏まえて実施してきました。今回は産地とともに、FSC®認証国産広葉樹無垢フローリングの種類と特徴をご紹介していきたいと思います。

*環境省「世界の森林を守るために」,[online] https://www.env.go.jp/nature/shinrin/index_1_2.html(参照2019-08-06)
画像:登米町の広葉樹林

国産クリのFSC®認証100%無垢フローリング ~岩手県岩泉町~

 岩手県は、県土の約77%を森林が占めており、森林面積は1,171,446 ha **で北海道に次いで全国2位の広さを持つ緑豊かな県です。海岸から平野、山地までさまざまな森林を見ることができます。
 このような自然に恵まれた岩手県の東北部に位置する岩泉町は、東西に51㎞、南北に41㎞という本州で最も広い面積を有する町です。森林面積は92,185ha***で、町の総面積の93%を森林が占めており、県内随一の森林率を誇ります。山岳からは小本川、安家川、摂待川といった河川が流れており、これら河川とその支流に沿って集落が点在する美しい森と水の町です。また100個以上の洞口があり、宇霊羅(うれら・アイヌ語で「霧のかかる峰」)という町のシンボルの山の裏側には日本三大鍾乳洞****の一つとして有名な龍泉洞があります。
 そうした岩泉町は、かつてより林業の町として、材木生産のみならず山菜や葉わさびなどの多様な林産物収穫、木炭の生産などを含めて山に依存した産業がほぼ唯一でした。林業経営が時代の変化とともに厳しくなるにつれて、町の生活は困窮し、過疎化が進みます。町の93%を占める森林を何とかして価値利用し、林産業に従事した住民の方に再び自信を持ってもらわなければならないという危機感がありました。
 対する取り組みの一つとして、2003年9月にFSC®-FM認証を日本で13番目に町全体で取得したのです。 外から見た岩泉町の森林はどう見えるのだろう、つまり国際的な標準で岩泉町の森林を見た場合に、どのような意義や価値があるのかと考えたことがこの森林認証の獲得へと繋がりました。岩泉町の森林は特徴として、天然の広葉樹林も豊富でした。日本全体の森林で広葉樹が占める割合は47%ですが、岩泉町では62%を広葉樹が占めています。町全体での認証取得は、 日本国内には数少ない広葉樹林も多くを占める認証林が誕生する結果にもなったのです。今では、この珍しいFSC®認証広葉樹林も含めて、林産業に従事する方が、自身の仕事に価値を見出し、誇りを持ち、具体的な木材利用サイクルができ始めていることに大きな成果を感じておられます。
 当社は、そうしたサイクルの一翼を担うべく、エンドユーザー製品として、岩泉産クリ材を使った無垢フローリングを開発しました。多くの地方自治体が過疎化に伴い自信を失い、都市と地方の格差は大きく拡がっています。大都市の方にも森林の役割や認証林を維持する活動をもっと知ってもらいたいといった岩泉町の想いがたくさん詰まったフローリングです。

画像:クリ 無垢フローリング 130mm巾 国産材(FFKN09-122)
**林野庁「都道府県別森林率、人工林率」,[online]https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h29/1.html(参照2019-08-06)
***岩泉の明日の林業を作る会(2015)「あしたの恵み、岩泉」,[online] http://iwaizumi-forest.jp/(参照2019-08-06)
****諸説あるが、龍泉洞(岩手県)、秋芳洞(山口県)、龍河洞(高知県)とするものが多い。

■国産ナラ・ヤマザクラのFSC®認証100%無垢フローリング ~宮城県登米市~

 宮城県北部に位置する登米市は、登米郡8町と本吉郡津山町の合併によって2005年のいわゆる「平成の大合併」において誕生しました。南北には北上川、東西には迫川が貫流し、その流域は広大で肥沃な登米耕土によって形成された県内有数の穀倉地帯です。また西部には、日本有数の鴈や鴨の飛来地としてラムサール条約登録湿地になっている伊豆沼・内沼、蕪栗沼及び周辺水田があります。さらには長沼や平筒沼などの池沼も散在する自然豊かな地域です。
 登米は、古くからスギ、ヒノキやアカマツの林業振興地域として森林整備が進められており、民有林の人工林率は約70%にも達しています。これは全国平均46%及び、県平均の54%を大きく上回る数字です。しかし、2011年の東日本大震災や福島第一原子力発電所事故の影響による爪痕は、林業関係者にも多大な影響を与えました。同市は、長期低迷が続く林業界や木材産業の強化に加え、復興支援からの自助努力による脱却を目的として、木材利用の新たな道をつくるべく、2016年に2,716haの市有林にてFSC®-FM認証を取得しました。2018年時点では、市内の森林組合や個人森林所有者の森林も加わり、 約8,500ha の認証林を有するようにまでなっています。そしてこの登米市においても、市を挙げての認証の取り組みであったために、針葉樹のみならず、コナラ、クヌギ、ヤマザクラなどの広葉樹も生産される希少なFSC®認証広葉樹林が生まれたのです。
 登米のコナラやクヌギといった広葉樹は、元来「ほだ木」として地元をはじめとした原木椎茸の生産を支えていました。しかし、東日本大震災における福島第一原子力発電所の放射能の影響は大きく、椎茸原木として使用や出荷ができなくなってしまいました。こうした広葉樹を活用し、樹林の更新を進めるためにも、登米市では最終製品まで域内で加工することも注力し、域内企業へFSC-COC認証取得の費用の1/2を支援する「森林認証取得支援事業」を推進しています。そうした成果の一例として、ナラ材を利用した学童机が市内の全小中学校へも導入されています。
 マルホンとしても持続可能な森林経営、復興支援や広葉樹の活用の一助にもなればとの思いから、登米町森林組合との商品開発に取り組みました。登米市森林関係者の思い、マルホンの物づくりが形となったフローリングです。

画像:ナラ 無垢フローリング 110mm巾 国産材(FFNN05-122)
画像:ヤマザクラ 無垢フローリング 120mm巾 国産材(FFYN05-122)
 SDGsやFSC®認証製品の開発などの環境配慮への企業の取り組みは、今や世界規模での共通認識となり、もはやそうした取り組みは特別なことではなく、個々人にとっても身近で一般的なこととなってきています。FSC®認証は、環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組みです。当社の、FSC®認証100%無垢フローリングをご使用いただいたお施主様は、間接的にも環境保護の一端を担っていただいている(つかう責任)ことになります。
 マルホンでは、環境への配慮、持続可能な木材資源保持につながる木材調達をし続け、今後とも製品を展開していきます。
画像:ナラ無垢フローリング導入例 (MOCTION:リビングデザインセンターOZONE5F
<参考文献>
岩泉の明日の林業を作る会(2015)「あしたの恵み、岩泉」,[online] http://iwaizumi-forest.jp/(参照2019-08-06)
WWFジャパン(2008)「WWF森林セミナー報告:豊かな森を育てる、新しいCSR活動の形」,[online] https://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/20080213fsc04.pdf(参照2019-08-06)
宮城県(2019)「登米地域の森林・林業・木材産業と施策の概要」,[online] https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/731847.pdf(参照2019-08-06)