メンテナンス 〜シリーズ第1回〜 床の塗装とメンテナンス【611 号】

 今回からは、床、家具、外装のメンテナンスについて。第一回は「床の巻」です。

 無垢の木の床のメンテナンスといっても、どのような塗装仕上をしてあるかによって変わってきます。 大きく分けると、ウレタン塗装やUV塗装のような造膜型か、オイルフィニッシュやワックスのように塗膜を形成しない含浸型かということです。

ウレタン塗装の場合

 塗膜のある塗装は、メンテナンスフリーと考えがちですが、実際は強力な塗膜にも寿命はあります。ウレタン塗装の塗膜の寿命は、20年から30年といわれています。ですから、毎日の手入れはモップなどで埃を拭くだけで充分ですし、水や食べ物をこぼしても、その場で、雑巾で拭けば問題ありません。塗膜があるので、その下の木材に汚れが浸透してしまう心配が少ないからです。当社の「Arbor水性クリーナーワックス」を使用すると、汚れ落としと表面保護の効果があり、雑巾がけの要領で手軽に洗浄&ワックスがけができます。

「Arbor水性クリーナーワックス」
 またウレタン塗装は、塗膜の硬度にもよりますが、オイル塗装に比べて傷がつきにくいです。しかし、何かのトラブルで塗膜がはがれたり、割れたり、木地に傷をつけてしまった場合のメンテナンスは、プロの技術が必要になります。よくあるのは、引越や模様替などで箪笥や本棚などの家具を移動して、ひっかき傷をつくってしまうことです。また、そもそも塗装方法に問題があり、塗膜が割れてしまう場合があります。繊維方向に沿った割れは木地の問題になりますが、方向性のない割れは塗装に問題があります。こうなったら本格的に塗膜をはがして、再塗装する必要があります。下手な応急処置をしないで、プロの技術に任せた方がよいでしょう。

 経年変化に対しては、木そのものの日焼けもそうですが、ウレタン塗料の含有成分である硬化剤が紫外線の影響で変色することがあります。これは避けられないことですが、どうしても経年変化を遅らせたいと言う方は、塗装をする段階で、紫外線吸収材を多く含んでいる塗料を使用することで、経年変化を遅らせることができます。

オイルフィニッシュやワックス仕上げの場合

 では、塗膜のない自然塗料はどうでしょうか。塗膜がないぶん、汚れや傷がつきやすい、ということはこれまでにもお話してきました。

それが気になる場合には、定期的なメンテナンスをする事により汚れかたは違ってきます。

 オイルフィニッシュの場合、塗装後1〜2週間は乾拭きを。その後は乾拭きの他に、使用頻度にもよりますが、一般住宅の場合1年ごとにオイルの再塗装をします。その後、数年間オイルを塗り重ねる事で、オイルがなじみ、より使い込んだような味わいのある仕上げにすることが可能です。 最初にオイルを2〜3回塗り重ねてあれば、それ以降は乾拭きと汚れを落とす程度でも問題なく使用することができます。
 汚れ落としなど日々のお手入れを簡単にする為には、オイル仕上げの上からワックスでお手入れをして頂く事も可能ですが、再度オイル塗装をする場合、ワックスがオイルの浸透の妨げになる為、専用のクリーナーなどで、一旦ワックスを落とす必要があります。
1.汚れがついてしまったら
 とはいえオイルフィニッシュは、色のついている醤油やコーヒーなどをこぼした場合、木地にまで浸透してシミや跡になってしまう事があります。 クレヨン、マジックなども布で拭いただけでは落ちません。専用のクリーナー(当社の「Arbor水性クリーナーワックス」など)で拭取るか、それでもだめなら、サンドペーパーで研磨します。 まず100番くらいのもので汚れを削り、 次に180〜240番のもので木地を整え、再度塗装します。

----------汚れ落とし実験----------
写真1)
オイル塗装の無垢フローリング材(パイン材)に上から油性マジック、水性マジック、クレヨン、靴底ゴムの汚れを付着させたサンプル。中央部分は汚れが付着してから1時間後に本製品でクリーニングし、右部分は本製品を30分間塗置きし、クリーニング(全て2倍希釈)。塗置きすると、全ての汚れを殆ど落とすことができました。

写真1)
写真2)
オイル塗装の無垢フローリング材(パイン材)にソース(左)と醤油(右)をこぼし、3日間放置。下半分を本製品(2倍希釈)でクリーニングしたところ、どちらの汚れともきれいに落とすことができました。
写真2)
2.傷がついてしまったら
 普通に生活していても、自然と傷はつくものです。 無垢の木を使って、しかもオイルフィニッシュにしているなら、多少の傷は気にしないことを前提にしましょう。 それでも、物を落としたりして、激しく傷ついてしまったら、木材の補修用パテで埋めてその上から再度塗装します。 また桐などの柔らかい樹種の場合は、濡れタオルなどを置いた上からスチームアイロンを当てると、ある程度元に戻ります。 濡らしたティッシュペーパーを、傷の上にしばらく載せておくのも効果があります。

----------柔らかい樹種の場合の傷補修例----------
写真3)
濡れタオルを置いた上からスチームアイロンを当てると、ある程度元に戻ります。
傷部分に針で数箇所穴を空けるとより効果があります。

写真3)
3.変色したら
 オイル系の塗料は、塗料そのものが黄変しやすい性質があります。これはもう、そういう性質だと知っておく必要があります。 オイルフィニッシュは、色の濃い樹種に向いた仕上です、白木の場合は、そのままの色を保つ為には、それに向いたワックス「Arbor針葉樹白木用オイルワックス」、特に紫外線防止剤(酸化チタン)が入ったもので塗装する事をお勧めします。

4.オイルを塗りすぎてしまったら
 自分でオイル塗装をする場合、一番問題となるのは、オイルを塗りすぎてしまうことでしょう。こうなると、ふき取ってもベタつきは残ってしまいます。
 この場合の対処方法としては、オイルを塗りすぎてしまった箇所にエタノールやアセトンをきれいな刷毛で塗り、ウエスでふき取ることです。(刷毛がない場合はウエスにエタノールやアセトンを染み込ませ、ふき取ってください。) その後、ワックスで仕上げるとベタベタ感はなくなります。(エタノールやアセトンは薬局などでも販売されております。ご利用の際は、火気に注意し、使用上の注意をよく読んでご利用下さい。)
 

メンテナンスの考え方

 どういう生活をするかによっても、メンテナンスの考え方、ひいてはそれ以前の塗装の選び方が変わってきます。
 犬や猫などペットを室内で飼いたいなら、最近はペットもシックハウス症候群になるケースもあるそうですから、トルエン・キシレン等のVOCが含まれないウレタン塗料を使用したフローリングを選択するか、もしくは自然塗料という選択肢もあるでしょう。しかし、自然塗料を選ぶ場合は、傷や汚れがつきやすいと考えて下さい。
また毎日が忙しく、こまめに床の手入はできない上に、汚れが気になる場合は、ウレタン塗装がいいかもしれません。
 何を優先順位にして暮すかということも、床材の種類(樹種)や塗装方法、後々のメンテナンス方法を考慮するうえで大切なことです。