草木染フローリングの魅力
―床暖房にも使える自然の染色―【692 号】

 四季折々の植物の葉や実・根など、自然の恵みを活かして染め上げることを「草木染」と呼びます。「草木染」と言うと「藍染め」を連想される方が多いのではと思いますが、ヨモギや桜の花、さらにはコーヒーや紅茶などを使って染色することもできるのです。
 身近な自然の色素を用いたこの染色方法は、化学染料の誕生以前に広く用いられてきました。植物の種類はもちろん、草木を摘む時期、染色する季節などによって仕上がる色が違うので、世界にたったひとつのオリジナルな空間をつくりあげることができます。人気の床暖房対応製品もご用意しています。

画像1:草木染
フローリング施工例
草木染とは
 

画像2:染料の原材料
「エンジュ」の木
■歴史

 実は「草木染」には長い歴史があります。世界最古の染め物は、エジプトのピラミッドで発見された約4000年前の藍染の衣であるとされています。四季があり、植物の種類も多い日本でも、「草木染」の文化が発達してきました。鮮やかな十二単や、武将が身にまとった羽織など、化学染料が日本にもたらされる以前の染物のすべてが「草木染」によるものだったのです。
 聖徳太子の時代、高貴な位を表す色として「紫」が用いられたのは、当時「紫(ムラサキ)」から抽出した紫色の染料が貴重であったからとも伝えられています。

■名前の由来

 明治以降、ヨーロッパから安価な化学染料がもたらされると、天然染料を用いた染物は急速に衰退していきます。そのような状況の中、染織家の山崎斌(やまざき・あきら)は伝統的な染料を研究し、天然染料による染色を続けたことで知られています。特別な呼称が存在しなかった天然染料に「草木染」という名を付けたのも、この山崎斌です。
草木染の魅力
 
■自然な風合い

 一般的な着色剤である化学染料や有機顔料、無機顔料では再現できない、木目など無垢木材本来の質感を活かした塗装が可能です。無彩色の風合いに仕上がるため、空間の主役としてだけでなく、インテリアを引き立てる脇役としても活躍します。

■唯一無二の色合い

 草木の種類はもちろん、草木を摘む時期、また染色する季節などによっても、染まる色が微妙に異なるのが「草木染」の特徴です。なお、どの無垢木材を染めるかによっても、現れる色は異なります。化学染料の良さが「均一な色に仕上がる」ことだとすると、「草木染」の魅力は「唯一無二の風合いを生み出す」ことだと言えるでしょう。

画像3:草木染フローリング施工例
草木染の種類
 
■シコン(紫根)

 「紫(ムラサキ)」という植物の根っこ、紫根で染色する方法です。紫根は医薬品の規格規準書にも記されており、漢方で解熱剤として、またやけど治療のための外用薬としても用いられてきました。小野妹子が中国から帰国した際に持ち帰ったものが日本最古の紫根染とも言われており、江戸時代には紫根で染めた絹を頭に巻き、病気の治癒を願ったとも伝えられています。



■セイヨウアカネ(西洋茜)


 乾燥した根が赤色である「茜(アカネ)」で染色する方法です。シコンと同様、アカネも消炎作用などをもつ生薬として利用されています。夕暮れの空模様を「茜色」と形容するのは、その色がアカネで染めた暗赤色を連想させるからです。
 染料としての歴史も古く、奈良時代から使われてきたと言われています。『昆虫記』で知られるファーブルはアカネ染色法の特許を取得しており、ヨーロッパでも古くから染料として活用されていました。

■エンジュ(槐)


 街路樹として利用されることが多い「槐(エンジュ)」の花蕾を利用して染色する方法です。エンジュは、中国では古くから尊い木として扱われており、周の時代には大臣位を「槐位」と呼ぶこともあったと言われています。日本でも、福岡県の宇佐八幡宮にあるエンジュの木は、古事記のエピソードから「安産の守り神」として知られています。
 エンジュのつぼみは止血作用のある生薬として、若葉はお茶の代わりとしても使われており、花からは蜂蜜を得ることもできます。



■マスハナ(舛花)

 「舛花(マスハナ)」というのは染料の名称ではなく、グレーがかった淡い青色のことを日本の伝統色で舛花色と呼びます。江戸時代、歌舞伎役者である五代目市川團十郎がこの色を好んで使用していたことから、成田屋の定紋「三舛」にちなんで舛花色と名づけられ、世間の人々からも好まれてきました。オークが本来持っている“タンニン”という成分を利用して染めた色が、この色に近いことから、マルホンではこの色を「マスハナ」と呼びます。数千年ものあいだ水中や泥炭に沈み、自然と色が黒っぽく変化したオークを“Bog Oak”と呼びますが、そのBog Oakをイメージさせる色合いでもあります。



■アイ(藍)


 「藍」を用いて染色した「藍染め」は、草木染の中でも抜群の知名度を誇ります。アイは人類最古の染料とも呼ばれ、日本だけでなく世界各国で用いられてきました。江戸時代には、着物や暖簾などあらゆるものが藍染めされていたそうです。
 弟子が師匠よりも優れることを「出藍の誉れ」や「青は藍より出でて藍より青し」などと言いますが、これはアイの原料となる藍草自身の色よりも、この原料から得られる染料の方が青いことが由来だとされています。



■ゴバイシ(五倍子)


 お歯黒にも使われた伝統的な染料「ゴバイシ」を用いて染色しています。ゴバイシは、ヌルデという木にできるこぶから得られます。
 ゴバイシで染めた色は「空五倍子色(うつぶしいろ)」とも呼ばれ、古くから喪服の染色などに用いられていました。源氏物語にも登場する「薄墨衣」は、このゴバイシで染められた喪服であったようです。

草木染×床暖房
 

画像10:床暖房対応草木染フローリング施工例(品番:FEKE58-736)

画像10:床暖房対応草木染フローリング施工例(品番:FEKE58-736)

 唯一無二の草木染の風合いを、床暖房でもお使いいただけます。足元から部屋全体を暖め、快適で身体にもやさしい床暖房。当社では、15樹種・41商品の床暖房対応フローリングをご用意しています。床暖房対応の草木染製品は「挽板フローリング」*だけでなく、贅沢に一枚の板を使った無垢フローリングでもご用意しております。
* 表面材に3mmの厚挽きした板を用いたフローリングのこと

床暖房対応フローリングについては、下記にて詳しくご案内しております。

▼マルホンからのお知らせ/床暖房対応フローリング
https://www.mokuzai.com/notice/floorheating.php

▼床暖房対応草木染フローリング製品一覧
https://www.mokuzai.com/product/flooring/list.php

 なお、草木染による仕上げをご希望の場合は、どの木を染め上げるかによっても仕上がりが異なるという草木染の特性上、お好みの色に応じて、お選び頂ける樹種(製品)が決まってきます。草木染を施すことのできる樹種については、下記をご確認ください。


画像9:草木染対応樹種表

*1 床暖房対応製品としてはご用意がございません。シコン・セイヨウアカネ・エンジュ塗装製品はタモのみお選びいただけます。
*2 床暖房対応製品としてはご用意がございません。マスハナ塗装製品は、ヨーロピアンオーク、ナラよりお選びいただけます。
*3 クリのマスハナ塗装製品は「FKUU06-838」の1品番のみご用意しています。その他のマスハナ塗装(GR735、GR736、GR737)はお選びいただけません。
*4 ゴバイシ塗装製品は、パネリング(壁・天井材)のみのご用意となります。

各色の製品一覧は下記からご確認いただけます。
リスト上の製品をクリックして詳細ページに進んでいただくと、カットサンプルもご請求いただくことが可能です。床暖房対応品もご用意していますので、ぜひご覧ください。


>シコンの製品一覧はこちら

>セイヨウアカネの製品一覧はこちら

>エンジュの製品一覧はこちら

>マスハナの製品一覧はこちら

>アイの製品一覧はこちら

>ゴバイシの製品一覧はこちら

2019年5月22日改訂