ウォールナット材
―中世から現代に至るまで不動の人気を誇る高級材―
【707 号】

 チーク、マホガニーと共に世界三大銘木のひとつに数えられるウォールナット。紫色を帯びた深い暗褐色の美しい木目は世界的に評価が高く、高級材の代名詞となっています。現在は、主に北米産のブラック・ウォールナットが「ウォールナット」と呼ばれています。和名でクルミと呼ばれるこの材は、その美しさや品質の良さから、古くから家具やライフルの銃床など様々な用途で用いられてきました。
 今号では、今も昔も変わらず人々の心を魅了しつづけるウォールナットについてご紹介します。

ウォールナット材施工例
画像1:ウォールナット材施工例
(品番:FWNR30-122)

ウォールナット材施工例
画像1:ウォールナット材施工例
(品番:FWNR30-122)



ウォールナット材の特徴
 

ブラックウォールナット立ち木
画像2:ブラック・ウォールナット立ち木

ブラックウォールナット立ち
画像2:ブラック・ウォールナット立ち木


 クルミ科クルミ属のウォールナット (学名:Juglans nigra L.)は半環孔材の落葉広葉樹です。穏やかで流れるような木目を持ち、美しい見た目とすぐれた性質を兼ね備えており、古くから高い人気を誇ります。
 北米産ウォールナットの中で代表的なブラック・ウォールナットは、真正のウォールナット種のひとつで、主にアメリカ北東部(北米東海岸北部から五大湖周辺)に分布し、イースタン・ブラック・ウォールナットや、アメリカン・ウォールナットと呼ばれることもあります。
 日本において「ウォールナット」と呼ばれる材は、このブラック・ウォールナットを指していることが一般的です。
 
 この材が「ブラック」ウォールナットと呼ばれるのは、材が暗色であるのに加え、樹皮も暗色で深い溝があるためだと言われています。古くから家具材として使用されてきたヨーロッパ産のヨーロピアン・ウォールナット(学名:Juglans regia)と比べ、ブラック・ウォールナットは色合いが濃く、白太と呼ばれる辺材が比較的少ないのが特徴です。
 ウォールナットの木は霜に弱く、砂地を好みません。十分な日照を確保できる肥沃で湿った土壌を好み、林野の中では川沿いや隅の方に生えていることが多い木です。


■魅力的なウォールナット材の表情

ウォールナット材の表情
画像3:ウォールナット材の表情

ウォールナット材の表情
画像3:ウォールナット材の表情


 ウォールナット材の最大の魅力は、なんといっても紫色がかった暗褐色の深い色合いと、その美しい木肌です。製材直後の木肌は明るい色をしていますが、辺材と心材の境にあるフェノール酸化酵素が空気に触れることによって、数時間で濃い鮮やかな紫を帯びた暗褐色へと変化します。
 また、ウォールナットの木は空に向かってまっすぐに成長するため、多くは整った木目を持ちます。部分的に含まれる波状や巻毛状の木目と混じりあうことによって、独特の美しい表情を作り出します。
 幹が細いため、製材すると暗褐色の心材だけでなく、白太と呼ばれる辺材も現れます。深いチョコレート色とクリーミーな白色のマーブル模様は、無垢木材ならではの唯一無二の表情を生み出します。その独特な色のコントラストは、他の樹種に着色しても再現が困難なことから、ウォールナットの価値をより一層高めています。



■優れた加工性と美しい杢
 ウォールナット材のもうひとつの魅力は、優れた加工性にあります。
 適度な堅さと粘りがあり、蒸し曲げに対する適性が良く、接着性にも優れています。乾燥後の温度や湿度による狂いが少なく、鋸断性、鉋削性ともに良いため、造形を美しく仕上ることが可能な材です。塗装性も良く釘の保持力にも優れ、狂いも少ない事から、精度が要求される椅子などに多く用いられました。
 こうした加工性に加え、稀に魅力的な杢が生まれ、特別な表面材になります。縮み杢、バール杢などが混じり複雑な模様を形成するフィギュアード・ウォールナット(figured walnut)や、カキ殻のような渦巻き模様の化粧板であるオイスター・ベニヤ・ウォールナット(oyster veneer walnut)は、多くの木工家や楽器メーカーを魅了しています。彼らはそうした杢を加工表現に活かし、好んで使用します。


■ウォールナット材の経年変化
 深い暗褐色のウォールナット材は、光に当たることで徐々に黒味、紫味が抜けていきます。これは紫外線による影響が大きく、紫外線を吸収することでウォールナットに含まれるタンニンが酸化し、赤褐色を経由して黄味がかった明るい茶褐色へ変化します。太陽光が降り注ぐ場所では、その変化が大きく現れます。
 色だけでなく、木肌も使い込むことにより変化します。初めはラフな手触りですが、足や手によって磨かれることで、次第になめらかになっていきます。

ウォールナット材の経年変化
画像4:ウォールナット材の経年変化(変化前:左図 変化後:右図)

ウォールナット材の経年変化
画像4:ウォールナット材の経年変化(変化前:左図・変化後:右図)



世界中で愛されるウォールナット材
 
■ウォールナットの時代
 17世紀後半、王政復古によりチャールズ2世がイングランド王として即位します。「陽気な王様」と呼ばれ、社交や芸術を愛した博識ある国王のもと、ウォールナットが家具史上に大きな発展をもたらします。
 粘りがあり加工性や接着性に優れるウォールナット材は、当時の家具職人たちにも好んで使われました。それまで家具材として多用されていたのはオーク材でしたが、ウォールナット材を使用するようになったことで、自由で精巧な造形が可能となり、曲線やねじれを駆使し、「カブリオールレッグ(猫脚)」などの新しい造形が生まれます。高貴な印象を与える独特の杢などの美しさと相まって、富の象徴として王族や貴族の間で愛され、艶やかなビクトリア調やロココ調家具となったのです。ヨーロッパの家具市場では、ウォールナット材による製品が人気を独占し、「ウォールナットの時代」と呼ばれました。
 時を越え、20世紀に入ってからもイームズなどの有名デザイナーも、ウォールナットの無垢材を用いてデザインした椅子を発表しています。

イームズウォールナットスツール
画像5:イームズウォールナットスツール
(出典:ハーマンミラージャパン)

イームズウォールナットスツール
画像5:イームズウォールナットスツール
(出典:ハーマンミラージャパン)




■希少価値の高いウォールナット材
 日本では1970~80年にかけてウォールナットがブームとなり、内装用の化粧単板や家具に用いられました。その人気の高さから、ウォールナットの名前は世間に知れ渡り、今日では高級材の代名詞となっています。
 そうした変わらぬ人気と需要の高さから、良質で幅広のウォールナット材は入手が困難で希少価値の高い材と言えます。

マルホンのウォールナット製品
 
 マルホンで取り扱っているウォールナット製品は、環境にやさしい木材調達と、材の特徴である「色」と「杢」にこだわり、北米産のブラック・ウォールナット材に限定しております。
 浸透性の塗料であるArbor植物オイルで仕上げると、その表情をさらに美しく引き立てることができます。水まわりなど耐水性が求められるお部屋には、ウォールナットの質感を活かしつつ、高い耐水性を持たせることができるArborガラスフィニッシュ塗装がお薦めです。また、Arborドライワックスは、無塗装のような乾いた仕上がりになり、ウォールナットのラフで素朴な雰囲気を演出します。
 当社では、床暖房対応フローリングやヘリンボーン張りをはじめ、多様なウォールナット製品を取り揃えています。お好みの木柄や多様化する生活スタイルに合わせて、巾やグレード、塗装をお選びください。
 フローリングの他、階段、框、テーブルの天板に至るまで、トータルでコーディネートしていただくことが可能です。


タモ材施工例
画像6:ウォールナット材施工例
(品番:FWNU11-122)
ウォールナット材施工例
画像7:ウォールナット材施工例
(品番:FWNR17-122)


ウォールナット材施工例
画像6:ウォールナット材施工例
(品番:FWNU11-122)


ウォールナット材施工例
画像7:ウォールナット材施工例
(品番:FWNR17-122)




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 時代を超えて愛され続けるウォールナット。
 伝統的で重厚感のある空間にも、現代的なすっきりとしたインテリアにも相性の良いウォールナットを、無垢材で使うという贅沢を、ぜひ味わってみてください。


<参考文献>
ノエル,キングズバリ(2016)『150の樹木百科図鑑』(上原ゆうこ訳)原書房.
コリン,リズデイル・ジョン,ホワイト・キャロル,アッシャー(2007)『樹木』(杉山明子・清水晶子訳) 新樹社.
高橋守(2006)『英国家具の愉しみ その歴史とマナハウスの家具を訪ねて』東京書籍.
須藤彰司(1997)『カラーで見る世界の木材200種』産調出版.
ニック,ギブス・ルシンダ,リーチ・ビル,リンカーン・ジェーン,マーシャル(2006)『世界木材図鑑』産調出版.
村山忠親著(2013)『増補改訂 原色木材大辞典185種』村山元春監修, 誠文堂新光社.