同属のカリンと同様、優れた特性を備えた高級材パドック【628 号】

 パドックの最大の特徴は、材面の鮮やかな赤色。あまりにも鮮やかすぎるので、むしろ、長い時間が経って古くなったものの方が木材らしくなります。心材と辺材の区別が鮮明で、心材は、染めたような真っ赤、辺材は、白色から淡黄褐色であり、赤と白の対照が装飾的な模様を作っています。

 心材の鮮やかな赤い色合いは均一で、寸法安定性が高く、衝撃に強く、加工性が非常に高いなど、優れた材質を備えています。意匠性と機能性を併せ持ち、家具や楽器といった装飾的な目的や、フローリングをはじめとした建材など、多くの用途に使用されています。
 また、パドックは塗装仕上がりが良好で、オイル塗装で磨くほど光沢を放ちます。

パドック木目
東南アジアのカリンとアフリカのパドック
 
 アフリカンパドック
 学名:Pterocarpus. soyauxii
 マメ科Pterocarpus属の熱帯産広葉樹 環孔性散孔材
 気乾比重:0.63〜0.90

 カリン 学名:Pterocarpus. indicus
 マメ科Pterocarpus属の広葉樹 環孔性散孔材
 気乾比重:0.52〜0.74
 パドックは、ナイジェリアやカメルーン、ザイールなどの西〜中央アフリカに分布、樹高15〜40m、直径0.6〜1.3mに達する熱帯広葉樹です。東南アジア産の高級材・カリンと同じマメ科に属しているため、赤系の色合いや優れた寸法安定性など、見た目や材質的特徴もカリンと似ています。ただし、色合いに関して、カリンが赤系といっても黒味がかった赤や茶色がかった赤などが混合しているのに対し、パドックの心材は鮮やかな赤色が均一になっていて、色の差がほとんど見られません。そのため、仕上がりが統一できるというメリットを備えています。また、一定の杢を有しており、木取り方向を変えても目立った変化がない、という点もカリンにはないパドックならではの利点と言えます。
パドックの成分
 
 ルイ15世・16世は、パドック製の王のコップ・聖餐杯に注がれた水が黄色に変色することから、これに薬効があると信じていたと伝えられています。

 大豆などのマメ科の植物に多く含まれている成分に、イソフラボンがあります。骨粗しょう症などに効くといわれるイソフラボン。最近、イソフラボンを含む健康食品が出回っているので、その言葉にもなじみがあるでしょう。イソフラボンの中にsantallinとsantarubinいう成分があり、それが同じマメ科のパドックの赤い色に関係しているといわれています。また、パドックには、オーロンという濃い黄色や橙赤色の色素も含んでいます。このオーロンの中にあるisoliquiritigeninという物質が水に溶け、水の変色に影響していると考えられます。
多彩な有用材
 
 パドックは強靭で硬く、気乾比重が重く、テクスチャーが適度に粗く、耐久性に優れています。乾燥は良好で収縮率が小さく、狂いも少なく、乾燥後の寸法安定性に秀でています。

<物理的特性>
  ・圧縮強度:62MPa
  ・曲げ強度:106MPa
  ・平均収縮率(含水率1%当たり)
    板目方向:0.20% 柾目方向:0.13%
  ・重量:約737kg/m3  
  ・気乾比重:0.63〜0.90

 このような特徴を活かし、パドックは、「シロフォン」に使用されています。「シロフォン」とは、木琴のことですが、共鳴部を持たない棒鍵の木琴です。木理が通直で春夏材の差が少なく均一で、弾性係数の高いものが澄んだ音を出して良いといわれています。

 また、その材面の美しさ、加工しやすさから、クラシックギターの側面や裏面、エレキギターのボディやネックなど、身近な楽器にも使用されていることはよく知られています。

 上記のような優れた安定性や耐久性を備えているパドック。
衝撃や摩擦に強く、フロアーや建具、造作材に適しています。さらに、昆虫に冒されにくく、シロアリに強く、高湿度にあっても腐朽菌に耐えることから、デッキ材をはじめ各種エクステリア材としても利用できます。

 優れた意匠性と機能性を併せ持っているパドック。アイディア次第で多彩な用途に応える有用材です。

ギター側面:パドック
パドック
両耳付き板  厚さ60×幅480〜800×長さ3,000〜7,000mm
片耳付き板  厚さ60×幅100〜400×長さ3,000〜7,000mm 

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