手と足で木に触れて得られるリラックス効果【708 号】

 「木」は建築材として、我々日本人が古くから用いてきた最も馴染み深い素材です。「木」を多く用いた独自の建築文化を醸成し、永く「木」と共に暮らしてきました。そうした中で、とりわけ「木」を内装建築材に使い、普段から触れることで人体に「リラックス効果」がもたらされることは経験的に知られております。しかし、「木」が人体に及ぼす「生理的リラックス効果」に関しての科学的根拠はこれまで、ほとんど無く、その詳細は知られていませんでした。

 そこで当社は、自然セラピー学、健康科学を専門に研究をされている医学博士の宮崎良文教授、宋チョロン特任助教、池井晴美博士(現・森林総合研究所研究員)を中心とした千葉大学環境健康フィールド科学センターと共同研究を行いました。千葉大学環境健康フィールド科学センターにて宮崎良文教授主導のもと、内装建築材に用いられる木材を含む各種素材への接触が生理応答に及ぼす影響を測定し、「木」が人体に及ぼす「生理的リラックス効果」を調べる実験がなされたのです。当該実験では、脳活動の指標に従来の脳波(α波)測定ではなく、光を使って脳前頭前野の活動を1秒毎に測定する近赤外時間分解分光法を用いるなど、従来には無い画期的かつ精度の高い手法が用いられております。

 結論として、手や足で木に触れることにより、リラックス時に高まる副交換神経活動の亢進や脳前頭前野活動の鎮静化が認められ、生体が生理的にリラックスすることがわかりました。

 これは世界で初めての試みであり、本実験により得られた知見は世界各国から注目されています。


詳細は、以下の論文と学会報告をご覧下さい。

1.Ikei H, Song C, Miyazaki Y. (2018) Physiological effects of touching the wood of hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa) with the soles of the feet. (ヒノキ材への足裏接触が及ぼす生理的影響) Int J Environ Res Public Health (国際環境研究公衆衛生学雑誌)15(10), 2135.
2.Ikei H, Song C, Miyazaki Y. (2018) Physiological effects of touching hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa). (ヒノキ材への手掌接触が及ぼす生理的影響) J Wood Sci (日本木材学会英文誌) 64(3), 226-236.
3.Ikei H, Song C, Miyazaki Y. (2017) Physiological effects of touching wood. (木材への接触が及ぼす生理的影響) Int J Environ Res Public Health 14(7), 801.
4.Ikei H, Song C, Miyazaki Y. (2017) Physiological effects of touching coated wood. (塗装木材への接触が及ぼす生理的影響) Int J Environ Res Public Health 14(7), 773
5.池井晴美, 宋チョロン, 宮崎良文. (2017) ヒノキ材への足裏接触が生理応答に及ぼす影響. 日本生理人類学会第75回大会概要集, O2-1, p. 44.
6.池井晴美, 宋チョロン, 宮崎良文. (2017) ヒノキ材への手掌接触が生理応答に及ぼす影響. 日本木材学会第67回研究発表要旨集, G17-09-1345.
7.池井晴美, 宋チョロン, 宮崎良文. (2016) 木材等の建築材料への手掌接触が生理応答に及ぼす影響-前頭前野活動ならびに心拍変動性を指標として-. 日本生理人類学会誌 第74回大会概要集, Vol.21特別号(2), P2-5, p. 76.
8.池井晴美, 宋チョロン, 宮崎良文. (2016) 塗装の異なる木材への手掌接触が生理応答に及ぼす影響. 日本木材学会第66回研究発表要旨集, G27-05-1615.