クルミ
―穏やかな木目とあたたかみのあるクルミ―
【709 号】

 当社のクルミのフローリングは、日本のオニグルミとほぼ同種の東アジア産です。世界三大銘木のひとつとして古くから愛されるウォールナットとも同じクルミ科ですが、明るい色目でやや柔らかくあたたかみのある材質で、似て非なる印象をもちます。
 今号ではクルミの魅力をご紹介します。

クルミ無垢フローリング施工例
画像1:クルミ無垢フローリング施工例

クルミ無垢フローリング施工例
画像1:クルミ無垢フローリング施工例



クルミについて
 
 クルミは、ヨーロッパ南西部からアジア西部が原産国と推測されるクルミ科クルミ属の総称です。日本では一般にクルミとは落葉高木のオニグルミを指します。
 クルミの学名であるJuglans(ユグランス)は、ラテン語で“ジュピターのどんぐり”を意味します。ジュピターとはローマ神話に登場する全知全能の神(ギリシャ神話ではゼウスにあたる)のことです。古代ギリシャ・ローマでは、クルミの木の実をジュピターに捧げており、そのことに由来するとされています。
 クルミの歴史は古く、紀元前7000年頃から人類が食用としていた最古のナッツ類で、2000年前から栽培されていたとされています。日本へは江戸時代中期(安土桃山時代の朝鮮出兵にて持ち帰ったという説もある)にイラン原産のペルシャグルミが東回りで中国(古代中国では北方・西方の異民族のことを「胡」と呼んでいた)、朝鮮を経て渡ってきたことから「胡桃」と呼ばれるようになったと言われています。
木材としてのクルミ
 
 クルミの樹を材木として着眼すると、まず、乾燥時の狂いは少なく粘りがあり、加工性が良好であると言えます。そのため、内装建材として適材です。また、木質が緻密であるため、古くからライフル銃などの銃床材にも用いられてきました。さらに、クルミの樹は成長が速いことから、古くから便利な木として生活の隅々において細工を施され利用されていました。例えば日本においては、長野県や群馬県で小正月(1月15日)に食べる小豆粥(邪気を払い、家族の無病息災を願って食べる風習がある)の粥かき棒や粥の箸などにクルミが用いられています。
 次にクルミ材の特徴としては、穏やかな木目があげられます。早材から晩材への道管の直径の移行が認められ、年輪は存在しますが、環孔材のように明瞭ではないため半環孔材といわれています。そして、心材はくすんだ淡い褐色をしており、辺材は灰色を帯びた白色であることから、全体としてあたたかみがある雰囲気となります。
 最後に、クルミの気乾比重(木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値のこと。木材の硬さや強度を表す基準の一つで、数値が大きいほど重く、小さいほど軽い)は、0.53と広葉樹の中では軽い部類に入り、素足で触れたときにまるで針葉樹のようなぬくもりを感じることができることも特徴として挙げられます。

樹種による気乾比重の違い
画像2:樹種による気乾比重の違い

樹種による気乾比重の違い
画像2:樹種による気乾比重の違い


 以上のことから、クルミをフローリングにすると、少し粗目の肌ざわりが生まれ、その穏やかな色味と相まって、どこか素朴な印象を受け、人気の秘訣となっています。
ブラックウォールナットとクルミ
 

ブラック・ウォールナット立ち木
画像3:ブラック・ウォールナット立ち木

ブラック・ウォールナット立ち木
画像3:ウォールナット立ち木


 クルミは英語にすると「ウォールナット」です。北米のブラック・ウォールナットは、チークやマホガニーと共に世界三大銘木のひとつとして古くから愛され、高級材として木材の世界では重宝されてきました。
 それに比べ、東アジアのクルミは、色味も違い、銘木的な扱いこそされてはいないものの、その優しい木目と程よいやわらかさは、どこかウォールナットと似ているところがあり、居心地の良い佇まいを生み出してくれます。

 ウォールナットについては、以下にて詳しく紹介しています。
 >ウォールナット材―中世から現代に至るまで不動の人気を誇る高級材―【707 号】
クルミの無垢フローリング
 
 広葉樹としては少しやわらかくあたたかみのある特徴のクルミは、塗装によって表情が変わるのも魅力のひとつです。
 Arborドライワックスで仕上げると、クルミが持つ素朴な風合いを活かした仕上がりになります。Arborドライワックスは、木の持っている色味を引き出し、まるで無塗装のように乾いた風合いに仕上がる塗料です。中間色よりやや明るめのクルミのドライワックス仕上げは、どこか可愛らしい印象を与え、自然と女性からの支持を集めています。
 Arbor植物オイルで仕上げると、全体的に濡れ色になり、つややかな表情にしあがります。Arbor植物オイルにはクルミが持つ木目を引き立たせる効果があります。オーク材のようなナチュラルな雰囲気を楽しめます。

 塗装の種類については、以下をご参照ください。
 >選べる塗装

クルミ無垢フローリング施工例
画像4:クルミ無垢フローリング施工例
(品番:FKMR10-122/Arbor植物オイル塗装)

クルミ無垢フローリング施工例
画像4:クルミ無垢フローリング施工例
(品番:FKMR10-122/Arbor植物オイル塗装)



床暖房への対応
 

クルミ 床暖房対応 無垢フローリング 熱処理
画像5:クルミ 床暖房対応
無垢フローリング[熱処理]

クルミ 床暖房対応 無垢フローリング 熱処理
画像5:クルミ 床暖房対応
無垢フローリング[熱処理]

 クルミは比較的寸法安定性の高い樹種です。そのクルミに、高熱と水分のみを用いた特殊な熱処理を施すことにより寸法安定性を高め、床暖房対応フローリングとして用いる事を可能にしました。特殊な熱処理によって水分を吸放出する速度を遅らせ、木の膨張収縮を抑える事により、幅方向の“動き”を軽減させています。仕上げには「ウレタンKMブラウン」塗装を施すことで色ムラを整え、まるでブラックウォールナットを連想させる美しい色合いとしています。

 熱処理についての詳細は、こちらをご覧ください。
 >床暖房対応フローリング[熱処理]
食用としてのクルミ
 
 木部は家具や住宅建材としても重宝されますが、クルミといえばやはりその実の食用としての印象が強いでしょう。体に良い脂肪の代表格であるオメガ3脂肪酸の含有量が、ナッツ類の中でもっとも多く含まれている事で、美容・健康ブームが続く近年では注目を浴びています。更にオメガ3脂肪酸の他にも、ポリフェノールやメラトニンなど、抗酸化値がナッツ類で最も高く、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルをはじめ、食物繊維など健康維持、増必要な成分が豊富に含まれます。


 クルミのフローリングからは、皆様がやわらかくあたたかいクルミの床に腰を下ろし、つかの間の休息を過ごす姿が想像できます。皆様にそっと寄り添ってくれるような空間づくりを可能にするクルミのフローリングで生活してみませんか。


<参考文献>
須藤 彰司 (1997)『カラーで見る世界の木材200種』産調出版.
向井由紀子、橋本慶子(2001)『ものと人間の文化史102 箸』法政大学出版.