木材と健康
―「木」が暮らしに適していることの理由―【655 号】

 ストレスが多いといわれる現代の生活。そんな現代人に必要なもの、それは人知れずほっとひと息つけるやさしさであり、ぬくもりです。それを“木材”は生まれながらに備えています。
 今回は、そんな“木材”と「健康」との関わりについて着目してご紹介します。
インフルエンザの発生を抑制する木の力!?
 
 この冬もインフルエンザが流行の兆しを見せていますが、木造校舎とRC校舎とで、児童のインフルエンザによる学級閉鎖数を比較したところ、木造校舎はコンクリート校舎の約1/3という調査結果があります(下グラフ参照)。
 なぜこのような大きな差が生まれるのでしょう。それは、木材には、コンクリートやプラスチィックにはない“調湿作用”があるからです。インフルエンザウィルスは、気温が低く、空気が乾燥している環境では長期間生存し続けますが、湿度が50%以上になるとウイルスの多くが死滅してしまいます。部屋が乾燥している状態では、木材中の水分を吐き出し、湿気が多いときには、余分な湿気を吸収する木材は、湿度を快適な状態に保つ効果をもっているため、木造校舎ではインフルエンザの感染が減ったと考えられます。
 また、その他の病欠や不登校が少ないことの理由についても、木の香りや調湿作用などが心と身体に安らぎを与えているためではないかといえるでしょう。
ちなみに、老人ホームを対象に行われた同様の調査においても、木材使用率の多い施設では、インフルエンザの感染や転倒による骨折、不眠を訴える人の割合が少ないという結果も出ています。

ヒノキ フローリング・パネリングを使用した幼稚園

児童の欠席理由 アンケート調査
木にはリラックスさせる効果がある?!
 
 木材には、フィトンチッドというリラックス効果をもたらす成分が含まれています。

 フィトンチッドとは、絶えず侵入してくる虫や細菌から身を守るために、樹木が自ら作り出し発散している物質で、木の香り・色などのもとになる成分でもあります。1930年ごろ、ロシアのボリス・トーキン博士が、植物を傷つけると、その周囲にいる細菌などが死ぬという不思議な現象を発見し、「植物」を意味する 「フィトン(phyton)」と「殺す」を意味する「チッド(サイド=cide)」を組み合わせて名づけられた造語です。

 他の植物や細菌などを撃退する働きをもつフィトンチッドですが、森林浴に代表されるように、人間にとっては癒しをもたらす効果があります。血圧を下げたり、脈拍の乱れを少なくするなどの自律神経を安定させる効果が実験で確認されています。特にマツやヒノキといった針葉樹はフィトンチッドの発散量が多く、免疫力向上に寄与するとの論文も発表されています。

 また、樹木が持つ独特の芳香には、気分を落ち着かせる効能があるといわれています。例えば、木の香りのする部屋で就寝すると疲れが早く取れるといわれています。
 ちなみに、日本人にとっての癒しの空間であるお風呂。昔からヒノキ風呂は、「高級」「上質」「贅沢」の代名詞とされ、ある種「憧れ」の存在となっていますが、ヒノキの芳香には、リラックスするときに脳内に発せられるアルファー波の量を増やすことが分かっています。入浴で身体を暖めることによる癒しに、ヒノキの芳香によるリラックス効果がプラスされるからこそ「憧れ」の存在となっているのかもしれません。

ヒノキ パネル